ランボルギーニ初のV10でかなりの狙い目!?
ランボルギーニ・ガヤルドで初搭載されたV10エンジンは、厳密にはアウディとランボルギーニの協業下で開発されたユニットであり、両ブランドが共有する高性能V10エンジン群の一角をなす。
その排気量は5204cc、バンク角90度、ややロングストローク傾向を持つ構成でありながら、高回転特性を損なわぬよう吸排気系・内部フリクション・可変制御に徹底した最適化が施されている。
注目すべきは、インジェクションシステムにポート噴射と直噴を併用したシステムの導入であり、先述のトヨタD-4Sと同様、中・高負荷域での燃焼効率と、低負荷域におけるスロットルレスポンスの高度な両立を可能としていたのである。
低中速域において明確なトルク特性で優れたドライバビリティを持ちつつ、高回転域では吸排気音・回転フィールともに極めてリニアかつ鋭い。NAならではのレスポンスと回転上昇速度そしてV10サウンドは市販車としては異例の領域にあり、アクセル操作と車速上昇が完全に同期する感覚が得られる。
ドライサンプ方式で低重心にミドシップマウントされ、AWDシステムとの相性も良かった。
軽自動車とは思えないパワフルさ
1994年、三菱自動車工業は軽自動車規格に適合するエンジンとして、4気筒SOHC(後にDOHC MIVEVも登場)660ccユニット「4A30」を発表した。
このエンジンは、従来軽自動車の主流だった3気筒エンジンとは一線を画し、軽自動車という制約下において高回転特性と静粛性を両立させる目的で開発されたものである。
基本仕様は、直列4気筒、総排気量659cc。DOHC20バルブ仕様ではMIVEC(可変バルブタイミング機構)を搭載し、気筒あたり5バルブを採用。当時としては8500rpmという高い回転限界を持っていた。NA仕様は52PSだが、ターボ仕様は64PSを発生する。
ターボの最大トルクは9.9kgm/3000rpmで、水平小型ターボチャージャーはレスポンスに優れており、耐久性も圧倒的に高い。同時代の3気筒に比してエンジン振動特性が極めて良好であった点も素晴らしい。
このエンジンが搭載されたパジェロミニh56a型はFRレイアウトで、エンジンの振動が少ない事で軽自動車とは思えないほど振動特性に優れていた。特にエンジンマウントや遮音設計において高度な工夫がなくとも、NVH(ノイズ・振動・ハーシュネス)性能が自然に確保されている点は、4気筒レイアウトの利点が明確に現れていたのである。
一方で、回転フィールは軽やかさもありつつ、ターボチャージャーの過給特性は非常に直線的で、過給圧の立ち上がりがピーキーでなく扱いやすい。ECUとスロットルレスポンスの協調性も高く、軽自動車としては異例のドライバビリティを示した。
特に4WDモデルでは、トルク伝達時のパワーギャップや過渡トルク変動が極めて少なく、実用域の走行性能においては他社の3気筒モデルと一線を画していた。
軽自動車という制度上の制限があるなかで、1気筒あたり165ccという超小排気量で4気筒レイアウトを成立させ、高回転・高精度バルブ制御・静粛性・信頼性を同時に満たした例は非常に稀であり、4A30ターボは高度な工業製品だったと言えるのだ。
現代ではコスト・パッケージ効率の観点から、3気筒ターボが主流となっている。その中で4A30ターボは、時代背景と制度の制約下において工学的に最大限の性能を引き出すための試みとして、明確な技術的意義を持つユニットであったと評価できる。
今回取り上げた4基は、時代、用途、排気量という異なる条件下において、それぞれが当該カテゴリの技術的限界に挑み、独自の設計思想と技術的解決を提示していた。これらは単なる数値的スペックの比較に留まらず、内燃機関技術の一つの歴史的節目として、これらのエンジン群の意義と完成度を再評価しておきたい。



コメント
コメントの使い方ミニカダンガン、写真が違う(笑)
pxの4A30、SOHC16バルブのNAだったけれど、900kmを9時間で走ったり(オドメーターのリセットボタンに当たるまで回ってたので、スピードわからない)すごいエンジンだったなぁ。
免許取って1年半で65000km、毎日ガソリン入れて走り回ってた。
画のミニカダンガンは3G83 3気筒
4A30 4気筒は画の次の世代のダンガンのみ。
BMWの直列6気筒がマイベストです。