ランクルが765台と急増!! 警察庁が2025年上半期盗難車ランキングを発表! 前年と比較で見えた傾向とは

ランクルが765台と急増!! 警察庁が2025年上半期盗難車ランキングを発表! 前年と比較で見えた傾向とは

 警察庁が2025年上半期の盗難車ランキングを発表しました。ランクルやプリウスは依然として上位を占める一方で、意外な車種が浮上しました。クルマ好きにとって、「自分の愛車も他人事ではない」と感じさせられる内容です。さて、盗難車ランキングに変動はあったのでしょうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock

【画像ギャラリー】2025年上半期の自動車盗難、ランクルが590台→765台に急増したワケ(7枚)画像ギャラリー

ランクルが急増するいっぽう、アルファードは急減!

2025年上半期の盗難台数が765台と前年同期比約30%アップしたランドクルーザー。データにはプラドや250、300など年式含め一緒になっている
2025年上半期の盗難台数が765台と前年同期比約30%アップしたランドクルーザー。データにはプラドや250、300など年式含め一緒になっている

 警察庁生活安全局は、2025年(令和7年)上半期の「車名別盗難台数」データを発表しました。この最新ランキングからは、これまで常連だった車種のほか、新たに浮上したモデルや、盗難傾向の変化が見てとれます。

 2023年から3年分のデータを比較しながら、注目の車種、盗難件数の推移、防犯対策の現状を深掘りしていきましょう。

 2025年1~6月における全国の自動車盗難は、依然としてトヨタ車が中心ですが、ランキングにはいくつか注目すべき変化が見られました。

【2025年上半期 盗難台数上位車種(警察庁発表より)】
1位:トヨタランドクルーザー:↑765台(590台/256台)
2位:トヨタプリウス:↑289台(287台/260台)
3位:トヨタアルファード:↓191台(303台/358台)
4位:レクサスRX:↑141台(80台/34台)
5位:レクサスLX:↑120台(112台/152台)
6位:トヨタクラウン:↑107台(44台(50台)
7位:トヨタハイエース:↑97台(60台/77台)
8位:レクサスLS:55台(↑44台/41台)
9位:トヨタハリアー:↑50台(17台/未公表)
10位:スズキキャリイ:↓43台(44台/52台)
※カッコ内は左が2024年上半期、右が2023年上半期のデータ

 2024年上半期の盗難台数上位車種と比較すると、激増している車種が目立ちます。ランクルは590台→765台、レクサスRXは80台→141台、クラウンは44台→107台、ハイエースは60→97台、ハリアーは17台→50台と急増。

 逆に減っているのは、アルファードの303台→191台、キャリイの44台→43台の2車種となっています。目立つのはランクルが175台を激増した一方、アルファードは112台も激減しています。このままでいけば2025年の盗難台数は3割~5割増えそうな勢いです。

なぜこの車種が狙われるのか? 背景を読み解く

スマートキーから出る微弱な電波を使ったリレーアタックは、微弱な電波を遮る金属の缶や遮断ポーチなどで防止できることが広まったため、自動車盗難の手口はスマートキーのIDコードを読み取ってスマートキーそのものを複製してしまうコードグラバーやCANインベーダーに移行(katsu@Adobe Stock)
スマートキーから出る微弱な電波を使ったリレーアタックは、微弱な電波を遮る金属の缶や遮断ポーチなどで防止できることが広まったため、自動車盗難の手口はスマートキーのIDコードを読み取ってスマートキーそのものを複製してしまうコードグラバーやCANインベーダーに移行(katsu@Adobe Stock)

 まずは海外輸出需要の高まりです。ランドクルーザーやレクサスは、中東や東南アジア、アフリカ諸国などで高い人気を誇ります。新車・中古車問わず輸出市場での価値が高いため、転売目的での盗難が急増していると考えられます。

 次に電子機器による犯行の高度化です。従来の「物理的なこじ開け」ではありません。リレーアタック→コードグラバー→CANインベーダー→ゲームボーイと、盗難手口は日々進化しています。

 まずリレータックの盗難の手口ですが、スマートキーが発する電波を拾い、クルマの近くにいる別の犯人に中継することで、スマートキーがクルマの近くにあると誤認識させ鍵を開ける方法です。しかし、リレーアタックはスマートキーを缶に入れるなどして電波を遮断する対策方法や、微弱な電波に切り替えることができる節電モードを付けたことで近年は激減しています。

スマートキー内のIDコードを盗み出すコードグラバーという機器も出回っている(dusanpetkovic1@Adobe Stock)
スマートキー内のIDコードを盗み出すコードグラバーという機器も出回っている(dusanpetkovic1@Adobe Stock)

 コードグラバーについては、リレーアタックのように電波を遮断する方法では太刀打ちできません。コードグラバーはスペアキーをつくるための特殊な専用機械でスマートキーのIDコードを読み取ってスマートキーそのものを複製してしまいます。

 当初は数mの距離しか読み取れませんでしたが、最近では1km以上離れた場所からでもスマートキーのIDコードを読み込める機械が出てきています。ただし、コードグラバーが使えるのは狙ったクルマのオーナーがスマートキーを使ってドア解錠などの操作を行うタイミングに限られるため、効率はそれほどよくはありません。

フロントバンパーを外側から外し、手が届きやすいCAN信号につながる端子に特殊機器(モバイルバッテリーに似ている)を接続し、制御システムに侵入するという手口。たった数分でドアが開錠してしまう
フロントバンパーを外側から外し、手が届きやすいCAN信号につながる端子に特殊機器(モバイルバッテリーに似ている)を接続し、制御システムに侵入するという手口。たった数分でドアが開錠してしまう

 変わって台頭してきたのがCANインベーダーという盗難手口です。ランドクルーザーのバンパーを外して、モバイルバッテリーのようなものを通信ネットワーク(CAN)のコネクターに接続して、解錠している犯人の映像をTVで見た方も多いはず。

 このCANインベーダーを使った車両盗難に対応したのがトヨタ純正用品の「セキュリティシステム」。このセキュリティシステムを搭載することで、車外から通信ネットワーク(CAN)に不正侵入して流し込まれる信号を遮断し、不正なドアの解錠やエンジンの始動を防ぐというものです。

 わずか3~4分の作業でエンジンもかかり、各種の操作が可能です。2022年11月1日以降に発売された新型車に標準装備され、2023年8月からは後付け品も販売されています。

 対象車種は盗難件数の多い車種で、ランドクルーザー(2021年8月~2022年10月)、ランドクルーザープラド(2017年9月~)、プリウス(2018年12月~2022年11月)、アルファード&ヴェルファイア(30系、2018年1月~2023年4月)など、車種によっては先代モデル(プリウスやプリウスPHEV、アルファード、クラウン)になっている点に注意が必要です。

 トヨタ純正セキュリティシステムの価格は1万7050円。標準取り付け時間は0.7~1.4h。工賃込みだとプリウスの場合は2万5135円、そのほかは3万3200円(3年6万km保証)となっている(詳細はディーラーに問い合わせてください)。

トヨタ純正セキュリティシステム。オーナーは特別な操作は特に必要ないという
トヨタ純正セキュリティシステム。オーナーは特別な操作は特に必要ないという

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