クルマ好きに愛され、数々の名車を生み出してきた日産自動車。
そんな日産の名車といえば、ハコスカやケンメリといった第1世代、第2世代のR32、R33、R34のスカイラインGT-R、そして第3世代のR35 GT-R、
他には「シーマ現象」という言葉まで生まれたシーマ、国産初の本格的量販スポーツカーで、今でも続いているフェアレディZなど、注目を集めたクルマが真っ先に浮かぶだろう。
しかし日産は、「良いクルマを作るのに売り方が下手」とも言われており、その影響か、名車なのになぜか売れなかったというクルマも数多くある。
本記事では、そんな販売当時スポットライトが当たらなかったクルマたちにスポットを当てていく。彼らのせめてもの供養になればと思う。
文:吉川賢一、写真:日産
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ウイングロード(1996年~2018年) 3世代で終了、5ナンバーで安くて使いやすかったステーションワゴン
ウイングロードが誕生したのは、1996年。
スバルのレガシィ・ツーリングワゴンのヒットで火が付いた「ステーションワゴンブーム」をうけ、日産の商用車「ADバン」の乗用車仕様「ADワゴン」と、サニーのステーションワゴン版「サニーカリフォルニア」を統合するかたちで誕生したクルマがウイングロードだ。
しかし、初代の人気は振るわず、1999年に登場した2代目も当初の評判は芳しくなかったが、その後行われたマイナーチェンジでデザインを一新、この後期型が好評で、人気車種の仲間入りを果たす。
しかし、ステーションワゴンブームの終焉により、徐々にその販売台数は低下、2018年3月、3代22年に渡った販売が終了された。
価格が安く、おしゃれでもない高級でもない「道具」としてのウイングロードのコンセプトは、ユーザー数は少ないながらも受け入れられ、モデル末期においては、数少ない5ナンバーサイズのステーションワゴンとして、重宝される存在であった。
ティーダ(2004年~2012年) 国内市場では1世代で終了、インテリアがウリのプレミアムコンパクトハッチ
5ナンバーサイズながら、シーマ並みの室内空間をもち、内外装デザインも品がよく、エンジンは静かでそこそこパワフルであり、2004年に誕生した日産のコンパクトハッチバック「ティーダ」は、決して派手なクルマではなかった。
しかし登場翌年の2005年には、登録車年間販売台数で、第4位となる9万8069台を記録し、その後日本市場で販売終了となる2012年の前年まで、30位以内にはランクインし続けるなど、ユーザーからの支持は非常に高かったクルマだ。
その特徴は何といってもコンパクトカーとは思えない広さだろう。後席は240mmのロングスライドが可能で、足も組めるほど。さらに、リアアームレストや10段階40度のリクライニング機能も備え、その価格からは想像できない装備を備えていた。
当時、筆者がもっとも感銘を受けたのが、フロントシートの手触りや座り心地であった。上級車のティアナ並にボリュームあるシートを5ナンバーの車内へ押し込むため、リクライニングレバーを車両中央側へ移すなど、工夫が凝らされていたのだ。
残念ながら、2代目で3ナンバーサイズに拡大してしまったことが影響し、日本では初代で販売が終了、「ティーダ」の名は消滅してしまった。国内市場から、このサイズ感の品の良いコンパクトカーが消滅してしまったのは、残念でならない。
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