もちろん課題は山積だが……自転車への青キップ制導入を専門家が評価するワケ

もちろん課題は山積だが……自転車への青キップ制導入を専門家が評価するワケ

 2026年4月から、自転車の交通違反に青キップ制が導入される。導入には賛否両論あるようだが、自動車評論家、交通コメンテーターの西村直人氏は、この決定をおおいに評価するという。青キップ制導入に西村氏は何を感じているのか!?

※本稿は2025年7月のものです
文:西村直人/写真:ベストカー編集部、AdobeStock ほか
初出:『ベストカー』2025年8月10日号

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青キップ導入は自転車の危機を救う

自転車の交通違反の増加から青キップが導入されることになったが、西村直人氏は「自転車を悪者にしないという意志を感じる」と評価している
自転車の交通違反の増加から青キップが導入されることになったが、西村直人氏は「自転車を悪者にしないという意志を感じる」と評価している

 何が危険で、どこをルール化すべきなのか、共通理解の項目として法制化し、反して他者に危険をおよぼした、または危険度合いが高い場合には青切符の対象に……。青臭いことを言うつもりはないが、西村直人はこの決定を評価する。なぜか?

 1970年に、1万6765名もの命が交通事故で失われた。「年間1万人以上の方が亡くなられることは交通戦争だ」と当時、問題視された。

 それを受け、国は危険運転の取り締まりを大幅に強化し、メーカーは安全なクルマ作りに励んだ。またこれを機に安全の基本中の基本であるシートベルトが、現在と同じ3点式へと移行されはじめる。

 「自動車を悪者にしてはならない」という総意から、ルールを作り安全意識を高め、反すれば罰則という図式を強化した結果、2024年の交通事故死者数は、1970年比84%減の2663人になった。これが現実だ。

 「自転車も悪者にしてはいけない」。自転車専用道路/通行帯の普及はこれからだが、拡幅にも限界があり、この先も多くの道では車道通行が基本で、歩道通行にしても現行法の遵守が絶対条件。

 だから情操教育は大切で、混合交通の精神は尊い。自動車や自転車に乗る人は時に歩行者でもあるから、それぞれが逆の立場で怖い思いをしない、させない、この徹底こそ交通社会の理想型。

 反則金の極論は、全国民に付与されているマイナンバー(カードじゃなくて個人番号)を運転免許証番号代わりに……なんてのは絶対ダメ。教育こそ力だ!

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