クルマは速さがすべてではないのは自明のことだが、それは“運転を楽しむ”ためのクルマであっても同様だ。今回は、特別速いわけではないけど楽しく運転できる「ゆる速カー」をピックアップして紹介したい。
文:長谷川 敦/写真:スズキ、ダイハツ、日産、マツダ、三菱自動車
【画像ギャラリー】「ゆる速カー」は遅い…でも最高に楽しい!(18枚)画像ギャラリー乗って楽しいクルマの王道的存在
●スズキ ジムニー/ジムニーシエラ
日本が誇るクロスカントリーモデルの軽自動車が、スズキが販売するジムニーだ。
1970年に初代モデルが発売されたジムニーは、本格的なオフロードモデルでは定番ともいうべき強固なラダーフレームを採用し、4輪駆動方式で路面をしっかりとらえる質実剛健さが特徴で、現在でもその基本コンセプトは変わっていない。
つまり実用性を重視したクルマなのだが、この頑固な構成にはファンが多く、街乗りをメインでもジムニーを選ぶ人もいるほど。
着座位置の高さによって良好な視界が確保されるとともに、剛性の高いフレームがドライバーに安心感を与えて、それらが運転の楽しさにつながる。
ジムニーの現行モデルは2018年に登場した4代目だが、2025年10月には一部仕様変更が行われ、安全性と運転時の快適性が向上した。
注目はアダプティブクルーズコントロールや車線逸脱抑制機能などの先進装備が追加されたことで、長距離走行時のドライバーの負担を軽減してくれる。
標準のジムニーは軽自動車規格に収まっているが、1.5リッターエンジンを搭載する普通車サイズのシエラもラインナップされ、幅広いニーズに応えている。
このように魅力の多いジムニーだが、難点は人気の高さゆえに新車購入の場合に数カ月~1年ほどの納車待ちが発生してしまうことだ。
●マツダ ロードスター
2シーターオープンボディのスポーツカーを見て「遅そう」と思う人はまずいないだろう。
実際、マツダのロードスターは一般的に考えれば速いクルマに属するが、スポーツカーとしては決して速くはない。
クルマの速さが最高速度のみで決まるわけではないのはご存じだろうが、やはり高出力を活かして高い直線スピードを出せるクルマには必然的に「速い」というイメージがつく。
その点、現行型のマツダ ロードスターに搭載されたエンジンは、標準型でNA(自然吸気)1.5リッターの最高出力132psと、突出したパワーを発生するものではない。
上級バージョンのRFには2リッター・184psのエンジンが搭載されるものの、こちらもスポーツカーのパワーとしてはむしろ控えめ。
しかし、ロードスターには軽量な車体と優れた前後重量バランスという強力な武器が与えられている。
スポーツタイプの車体による低い着座位置がドライブ中のスピード感をアップさせ、ひとたびハンドルを回せば鋭い応答性でスパッと曲がってくれる。そんな走りが楽しくないはずがない。
気候の良い時期にオープン状態で走るのもこのうえなく快適で、控えめなパワーなど気にならなくなるはず。




















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