近年、バスのワンマン機器は高度化・システム化が進んでいるが、1960年以降に路線バスのワンマン運転化が進むとワンマン機器の開発も急速に進んだ。つくば連節バスもワンマン運転に主眼においていたためにワンマン機器も充実していた。そこでワンマン機器や快適装備の取扱い要領を解説する。
(記事の内容は、2024年12月現在のものです)
執筆/諸井泉(元シャトルバス中央事業所第6グループ運営管理者)
資料・写真/旧富士重工業(現スバル)※特記を除く
※2024年12月発売《バスマガジンvol.127》『日本を走った初めての連節バス』より
■(6)発着管理システム(住友電工)※図1
ボルボ・FHI連節バスは、科学万博期間中スムーズな運行を図るため、発着管理システムが採用され、この操作・表示機器が取り付けられていた。
このシステム機能は、(1)車両の先発・後続の順序を明確にするために出発に際して前に出発した車両の後、一定の前後間隔時間を空けて後続する車両に出発指示をするものである。(2)ターミナル出口の出口ゾーンに信号待渋滞が6台に達した場合、後続出発を見合わせ、待機指示を行った。
発着管理システム車載システムの運転前点検では、電源スイッチはなく、連接バスのメインスイッチにより連動して電源ONになる。スイッチ位置は、駐車場行スイッチは通常側、客扱いスイッチは客扱い終了側に倒れているか確認する。
■(7)AMカーラジオ(松下電器産業)※図2
AMラジオを受信するときは、〈1〉主電源スイッチボタンを押す。〈2〉ラジオ電源・音量調整つまみを時計方向にまわす。〈3〉選局つまみをセットする。の順番で行い、科学万博放送局を国際科学技術博覧会協会が文化放送に委託して運用していた。
放送内容は、道路交通情報・パビリオン紹介・科学万博情報・祭事案内・音楽・ニュース・天気予報等で、客扱い中に車内で流していた。
■(8)暖房装置(日本電装)※図3
B10M連接バスには、デフロスターヒーターとルームヒーターが取り付けられている。双方共、温水式のため、エンジンの冷却用温水を使用するので、冷却水温が上がらないと吹出し温度も上がらなかった。
吹出しヒーターの温水回路には何か所かにコックまたはバルブが取りつけけられていた。ヒーターを使用する場合には、コックまたはバルブを全開にした。
■(9)冷房装置(富士重工)※図4
B10M連接バスには、前車体にメインエンジン直結式のバスクーラーと後車体にサブエンジン付ワンユニット式バスクーラーの2種類の冷房装置が取り付けられていた。
1.コントロールパネル ※図5
クーラーの運転操作をするコントロールパネルは、運転手席右側に配置され、図5のように操作するものと報知するものがついていた。
2.運転手順
(1)中央扉前のクーラーメインスイッチを「ON」にする。
(2)運転席右後方柱部に取り付けてあるルームスタートを25℃~26℃にセットする。冷房「強」運転の場合、室温が25℃~26℃に下がるとクーラーは自動的に「弱」に切り替わる。=自動回路
(3)冷房運転の場合 セレクタスイッチを右回りに操作する。「停止」→冷房「弱」または「中」「強」 この時、コンプレッサーの電磁クラッチが「ON」となり、冷房状態に入って肩部ダクトより冷風がでて冷房運転表示灯が点灯する。エンジン回転数はアイドルアップ機構により、自動的に600rpmになる。
(4)送風運転の場合はセレクタスイッチを右回りに操作する。「停止」→送風「弱」または「中」「強」この時、送風表示運転灯が点灯、送風運転となる。
(5)夜間運転の場合、セレクタスイッチが冷房「中」「強」の位置でも自動的に「弱」運転に切り替わる。
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