東京のトヨタディーラー(メーカー資本店)が、2019年4月に“統合”されてから、この3月末で丸1年が経過する。
トヨタ系ディーラーの統合は、2019年4月に東京で先行しておこなわれたもので、これまで4系列あった販売店を統合。「ハリアー」や「アルファード」など、各系列ごとにあった“専売車”を含めて、すべてのトヨタ車が全ディーラーで販売されることになった。
そこで2020年5月から全国でも始まるディーラーの統合と「全店全車種併売」を前に、東京での“1年間”でわかった功と罪を現場の声から考察。ハリアーやアルファード、クラウンといった主力車種への影響とは?
文:遠藤徹
写真:TOYOTA、編集部
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全店全車種扱いで「値引き競争」がなくなる!?
この戦略は販売店にとって良かったこと、悪かったこと、またユーザーにとってどうであったかの様々の評価要因がある。
東京地区は100%が“メーカー資本店”ではない。10%にも満たないが「トヨタカローラ東都」、「西東京カローラ」という地場資本もある。
従来の「東京トヨペット」、「東京トヨタ」、「トヨタ東京カローラ」、「トヨタネッツ東京」は統合して「トヨタモビリティ東京」となった。
地場資本販社は従来と同じ名称で残っているが、全トヨタブランド車を扱うようになっている。
メーカー資本の4系列店販社は合併して同じ会社になったので、各店舗同士の競合で値引き競争ができなくなった。
新車販売の商談情報は、コンピュータで一括管理され、従来のようにユーザーが他の系列店間で同じ併売車を競合させ、値引き交渉をして新車を安く買うような買い方はできなくなった。
この場合、最初に交渉した店舗の営業マンに優先権があり、ユーザーが他の店舗に出向いて同じ車種の購入交渉をしようとしても出来ない仕組みになっている。
このことはユーザーにとっては競合をさせられず「悪かったこと」になる。営業マンにしてみれば値引きを抑えて販売できるので「良かったこと」になる。
ただ、このことは営業マンにとって良いことばかりではないようだ。
「同じ会社になって同じ車種での競合はなくなっても、店舗間の競争は引き続き行われている。成績が悪いと他の店舗と統合されて消滅しかねない。会社としては販売効率の悪い店舗やテリトリーが重なる地域は今後順次統合整理する方針のようだ」(店舗が密集する地域の営業マン)とコメントする。
専売モデル消滅で「競合」はなくなっても「競争」は激化!?
当面、店舗あたりの扱い車種は大幅に増えている。
旧トヨタ店系店舗は、ハリアー、アルファード/ヴェルファイア、RAV4、カローラ、ヤリス。
カローラ店系は、クラウン、ハリアー、アルファード/ヴェルファイア、ヤリス。
旧ネッツ店系は、クラウン、ハリアー、カローラ、アルファードなどの有力モデルが扱い車に加わったことで販売活動がし易くなったと歓迎している。
以前は扱っていなかった専売モデルの購入を希望するユーザーが来店した時は、最寄りの扱い店に紹介するだけであり、メリットはまったくなかった。
それが今回から正式に扱えるようになったので、販売台数が稼ぎやすくなったといえる。逆に専売モデルがなくなったので、他の店舗との競合はなくなっても競争は激化しているので、“専売モデルの収益”といううまみはなくなっているといえる。
クラウン、ハリアー、アルファード/ヴェルファイア、カローラ、ヤリス(ヴィッツ)など主要車種の動向で良い点、悪い点を評価して見ると、まずクラウンは全国的にはトヨタ店の専売だが、東京地区は特殊でトヨタ店とトヨペット店の併売となっていた。
旧カローラ店と旧ネッツ店にとっては収益の良い高級セダンが扱えるようになったので歓迎であり、「良かったこと」といえる。しかしながら最近セダン市場は縮小傾向だから以前のようなありがたさはないようだ。
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