昔の常識とは真逆!! 「ズルっ!」と滑った時の対処法 この時期の日影の濡れた路面に要注意

昔の常識とは真逆!! 「ズルっ!」と滑った時の対処法 この時期の日影の濡れた路面に要注意

 「雨上がりのカーブでクルマが一瞬フラッとした…」そんな経験、ありませんか? 路面温度が低く、濡れた路面が乾きにくいこの季節は、日陰に残る水溜まりで想像以上に滑りやすく、ブレーキやハンドル操作を誤ると一気にスピンに至る危険もあります。いざ滑った瞬間にどうすればクルマを立て直せるのか。今日から役立つ実践テクニックを紹介します。

文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_hako/写真:Adobe Stock、写真AC

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日陰や落ち葉にも要注意! この時期はスリップリスクが高まる

 首都高速道路によると、晴天時よりも約5倍も事故が多くなる傾向があるという雨天時。その多くがスリップによる事故だそうです。降雨によって路面に水が溜まってくると、タイヤが路面にグリップしにくくなるため、スリップが起きやすく、雨の量がそれほど多くない状況でも、わだちなどで水溜まりができてしまうと、タイヤはグリップを失いやすくなります。

 気温が低いことで路面が乾きにくいこの時期は、日が当たるところでは乾いていた路面も、日陰に入ると水がまだ溜まっているということも多く、油断をしていると、不意に大きな水溜まりに遭遇し、速度調整が間に合わずにスリップしてしまう、なんてことにも。この時期はまた、落ち葉が多い場所にも注意が必要。濡れた落ち葉は想像以上に滑りやすく、摩耗したタイヤではリスクが一層高まります。

晴れた日であっても、この時期は路面が乾きにくいため水溜まりがあることも。カーブ手前では必ず速度を落としたい(PHOTO:Adobe Stock_Prostock-studio)
晴れた日であっても、この時期は路面が乾きにくいため水溜まりがあることも。カーブ手前では必ず速度を落としたい(PHOTO:Adobe Stock_Prostock-studio)

滑った瞬間の正しい対処法は「落ち着いて保持」

 「滑った!」と感じた瞬間にまず心がけてほしいのは、進みたい方向にハンドルを向けたまま、落ち着いて保持することです。同時にアクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルを強く踏み続けましょう。

 昨今のクルマには、横滑りを抑制する「横滑り防止装置」や、駆動輪の片方が空転した際に駆動力を確保してくれる「ブレーキLSD機能」など、車体の挙動を安定させるシステムが備わっており、まっすぐの道であるならハンドルをまっすぐ、カーブしている道であればその方向にハンドルを切ってクルマに行きたい方向を知らせることで、クルマが、ドライバーが向かおうとしている方向へ安全に進むことができるよう、自動的にブレーキ圧やエンジン出力を調整して、横滑りを軽減してくれます。

 そのため、焦ってハンドルを逆に切ったり、グルグルと修正しようとすると、かえってクルマの挙動が不安定になることも。ブレーキペダルについても、かつては「スリップしたらブレーキを離せ」と教えられた時代もありましたが、それはABS(アンチロックブレーキシステム)がなかった頃の話。現在のクルマでは、ブレーキを強く踏み続けることでABSが作動し、タイヤロックを防ぎながら制動力を最適化してくれます。

 もちろん自分でやってうまくいくこともあるかもしれませんが、システムに任せたほうが、安全に切り抜けられる確率は高いはず。漫画でみる「アクセル操作で挙動をコントロールする」といったテクニックは、サーキットのように安全が確保された場所で磨くものです。

ハンドルは進みたい方向に向けたまま保持し、アクセルを戻しつつブレーキを踏み続ける。現代車の電子制御が挙動を安定させてくれる(PHOTO:Adobe Stock_hako)
ハンドルは進みたい方向に向けたまま保持し、アクセルを戻しつつブレーキを踏み続ける。現代車の電子制御が挙動を安定させてくれる(PHOTO:Adobe Stock_hako)

次ページは : ハイドロプレーニング現象は「待つしかない」

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