水害の報道を「うちは都会だから近くに川はないし、崩れるような山もないし」と聞き流している人は改めたほうがいい。近年のゲリラ豪雨では、地下鉄や地下街の冠水、アンダーパスの水没などの「都市型水害」が頻繁に起きているのだ!!
※本稿は2025年11月のものです
文:横山芳春/写真:トヨタ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年12月10日号
都市型水害は都市部全域で起きる可能性がある
記録的な豪雨が日常的に、かつ身近なところで発生することがある昨今、都市部に暮らす私たちにとって、都市型水害から自身とクルマを守る意識は必須ともいえる。
都市型水害は、記録的な豪雨が降ってしまうと、都市部ではどの地域でも発生する可能性があるといえる。
豪雨が降った時に、水が集まりやすい場所=浸水・冠水が起きやすい場所であるかを知ることが重要だ。まずは我が家、また通勤・通学先、近隣に都市型水害の主な原因となる「内水氾濫」のリスクがある場所があるかチェックしておきたい。
自治体の内水(雨水出水)ハザードマップがあれば、その確認が最善。「この先冠水に注意」の表示がある場合や、過去に浸水・冠水があった地点なども繰り返し発生することがある。
普段から豪雨の際に水たまりになりやすく、水が排水されにくいような場所も水が集まりやすい場合があり要注意だ。
豪雨が来る「可能性」をチェックし心構えを
次に、都市型水害の原因となる豪雨にも気を付けておきたい。
気象庁や自治体から豪雨に関する情報、特に警報級の大雨となる情報や、大雨(特別)警報、洪水警報などが出ている場合は要注意だ。
気象庁がHP上で公開する「キキクル(危険度分布)」では、浸水害の可能性が高くなっている地域を知ることができる。
また、気象情報アプリなどで、雨雲レーダーは誰でも容易に見られるようになっている。これらの情報を活用し、あらかじめ冠水・浸水が起きそうな場所への突入や移動を避ける、また高い場所にクルマを移動するなどが望ましい。
知って得するクルマの水没Q&A
Q:エンジンにはどこから水が入るのか?
A:フロントではエアクリーナー部分、リアではマフラーから。そのため、一般的に30cm程度の深さの水たまりが限界と言われるゆえんだ。本格的オフロード車では、吸気位置が高くなるシュノーケルを装着しているが、水害時には絶大な効果を発揮する。
Q:エンジンに水が入るとどうなる?
A:シリンダー内に水が入た状態で無理やりエンジンをかけると水は圧縮できないため圧力の逃げ場がなくなり、コンロッド、バルブ、ブロックを破損するケースもある(ウォーターハンマー現象)。
Q:クルマで走ることができる水たまりの目安はどのくらい?
A:クルマによって違うが、前述のとおり30cm程度。タイヤが半分浸水する程度の深さだ。やむを得ず走らなければいけない時は、アクセルオフによる負圧でマフラーから水が浸入することがあるので、低速で一定のアクセル操作での脱出を試みる。
Q:水害時には保険は適用される?
A:一般的に台風、豪雨、洪水などによる車両被害は車両保険に加入していれば保険が適用される。ただし、地震、噴火などが起因する場合は特約の加入が必要となる。
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都市型水害は決して他人事ではない。自身の命と大切なクルマを守るため、自らも被害にあうかもしれないという前提で、起きやすい場所や原因となる豪雨に関する情報を積極的に入手して備えていただきたい。











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