億の世界線で生きるスーパーカーやハイパーカーたち。選び抜かれた彼たちは、冬本番前の富士スピードウェイを全力疾走。その光景は圧巻で、息が止まりそうな世界が広がっていた
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:小塚大樹、SPS Automotive Performance、JAS Motorsport
【画像ギャラリー】夢のような世界!! 普段はお目にかかれない億超えスーパーカーたちが集うイベントの臨場感を味わい尽くせ!!(32枚)画像ギャラリー舞い降りた珠玉のスーパーカーたち
大型レースの開催日でもないのに、富士スピードウェイにはいつもと違う、ピンと張りつめた空気が漂っていた。
ピットガレージに足を踏み入れると、数1000万円クラス。いや、億を超えるハイパーカーたちが、静かにエンジン点火の合図を待っている。コースイン前の一拍の静寂が、かえって鼓動を大きくする。
霜月の富士で行われていたのは、香港でスーパーカー/ハイパーカーを扱うSPS Automotive Performance(以下、SPS)が、ジャパンツアーの一環として開催したトラックデーだ。
顔ぶれは実に華やか。ポルシェ 911 GT3 RSやケイマン GT4がフラット6の雄叫びを上げれば、街中ではまず出会えないメルセデス・ベンツ SLRマクラーレンまでもが、同じ時間軸の中でラップを刻む。
さらに、SPSが取り扱うパガーニの最新モデル、ウトピアもガレージに姿を見せていた。だが何より息を呑んだのは、ワンオフの「ゾンダZOZO」が走行に加わっていたこと。幻のようなモデルが、目の前のホームストレートを全開で駆け抜けて現実へと変えていく。

ゲストドライバーには、日本から土屋圭市氏、谷口信輝氏、織戸学氏、織戸茉彩氏という超豪華な面々が参加。オーナーのマシンをドライブし、ピットでは笑顔で言葉を交わす。速さだけでなく、クルマが取り持つ距離の近さまで感じさせる光景だった。
個性豊かでラディカル
一方、SPSが取り扱う2台も、この日サーキットで牙を剝いた。まずはガンサーワークス・ターボ。アメリカ西海岸を拠点にポルシェのレストモッドを手がける同ブランドが仕立てたこの個体は、鮮烈なオレンジのボディをまとう。
ベースは最後の空冷となる993型。オリジナルの3.6Lは4Lへと拡大され、最高出力は700psオーバー。最新の911 GT3 RSにも怯まず周回を重ね、最新テクノロジーとクラシックの官能が同居する、“究極の空冷”を体現していた。
そしてもう1台。アポロ・オートモービルが2018年に世界限定10台のみ販売した「インテンサ・エモツィオーネ」だ。
自社開発の6.3L V12を心臓に、シャシーはフルカーボン。車両重量はわずか1250kgというサーキット専用機。ホームストレートで放たれるサウンドは、まさに“天使の咆哮”。高回転で伸び切る一音一音が、胸腔を震わせる。
まさに圧巻のドリーム・ランセッション。美しさとモンスターたちが交わるその景色に、気がつけば、ため息だけが静かにこぼれていた。





































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