アニメ3rdシーズン放送を前に、登場車をもう一度改めておさらい。『MFゴースト』の原作とアニメの双方でドライビングアドバイザーを務める武井寛史氏が、登場人物たちが駆るマシンを全開インプレッション!!
※本稿は2025年11月のものです
文:武井寛史/写真:音速movies、山本圭吾、森山良雄、トヨタ
初出:『ベストカー』2025年12月26日号
主人公・片桐夏向が駆る「赤い86」
MFGパイロットたちが駆るマシンを語るうえで、これまで主人公・カナタが乗るトヨタ86についてはあえて触れてこなかった。
物語はライバルの存在によってこそ主人公が際立つからだ。このクルマは否が応でも注目され、あらためて取り上げる必要はないと考えていた。実際、86のレプリカは多くのファンによって制作され、SNSでは聖地巡礼やツーリングを楽しむ様子も見られる。
カナタが乗る86は、緒方自動車の若社長・緒方の所有車だ。緒方自身もかつてMFGに参戦していた経験を持ち、ほぼノーマルだった86が、カナタがドライブすることでアップデートされていく。
実は、しげの先生自身も前期型の86を所有しており、物語の進行に合わせてカスタムしてきた。スパイラルゼロのベースとなったブリッツによるアップデートで、作品にリアリティが宿っている。
開幕戦・小田原パイクスピークから最終戦・熱海ゴーストまで、マシンが進化を続ける点も『MFゴースト』の大きな魅力だが、ここでは、第3戦「ザ・ペニンシュラ真鶴」仕様の86を紹介したい。
3rd Seasonに向けた音響収録では、ブリッツが製作したレプリカが使用された。この車両のオーナーは音響監督・三間雅文さん。アニメの進行に合わせ86も仕様変更している。また、アニメ制作陣の中には、同仕様の86を所有するプロデューサーもおり、その車両もブリッツで製作したレプリカだ。
収録車はターボが換装され、ブースト圧が約1kPaかかっており、瞬発力は格上マシンにも引けを取らない。シフトアップのたびにタービン音がコックピットに響き、走行中はまるで飛行物体が通過するようなエキゾーストノートが魅力だ。
トップスピードは230km/hにとどまったが、真鶴仕様では最高速に達するまでの瞬発力を重視しており、むしろ理想的な特性といえる。
原作では見えない部分も教えちゃうゾ!
特別に、原作では描かれていない86の仕様について少し触れておこう。ターボ化された86の瞬発力は、ブースト圧によって決まる。
原作では明記されていないが、86は約300ps仕様で、エンジンにも若干手が加えられている。パワーアップに伴い、冷却効率の向上や駆動系の見直しも欠かせない。
なお、ノーマルエンジンでブーストを上げるとブローする危険があるため、絶対におすすめできない。加給圧はせいぜい0.6kPa程度が限界だ。
現在、アニメ『MFゴースト』とブリッツのコラボにより、オートバックス(一部店舗)ではポップアップストアや専門コーナーが展開されている。レプリカ製作を検討している方にはおすすめスポットだ。
アニメ3rd Seasonは2026年1月4日放送開始。さらなる熱走に期待したい。
●トヨタ 86 GT(ザ・ペニンシュラ真鶴仕様)主要諸元
・全長×全幅×全高:4240mm×1775mm×1285mm
・ホイールベース:2570mm
・車両重量:1240kg
・エンジン形式:水平対向4気筒DOHC+ターボ
・総排気量:1998cc
・最高出力:258.4ps
・最大トルク:30.9kgm
・ミッション:6速MT
・駆動方式:FR
・装着タイヤサイズ:F・R)255/35R18
・最高速度:230km/h以上


















コメント
コメントの使い方