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雌ネジが上がってパーツが固定できない!! そんな時もプラリペアで簡単&確実に補修できる

配信元:WEBIKE
雌ネジが上がってパーツが固定できない!! そんな時もプラリペアで簡単&確実に補修できる

ボルトやナットで固定した部品の脱落を防ぐには、適正なトルクで締め付けることが重要です。しかしこの「適正」がくせ者で、ついつい過大な力=オーバートルクでグイグイ締め付ける人も少なくありません。強度の高い金属製のボルトやナットなら少々のことでは音を上げませんが、樹脂部品だとネジ山がナメてしまうこともあります。そんな時に頼りになるのが、粉末と液体の化学反応で硬い樹脂になるプラリペアです。割れた部品の張り合わせや欠損部分の再生で力を発揮するプラリペアは、雌ネジの再生でも非常に効果的です。

 
文/栗田晃
 

着脱の繰り返しやオーバートルクが樹脂パーツの弱点



スズキGSX400Sカタナのサイドカバー裏にタッピングビスで固定されているケーブルガイド。サイドカバーを着脱してもケーブルガイドまで外す機会は少ないが……。



増し締めのつもりでちょっと強めに締め込んだらネジ山がズルッとなめてバカ穴に。オーバートルクで締め付けると、雌ネジの土台(円筒部分)が割れてしまうこともある。

重量が軽くて複雑な形状にも成形できる樹脂は、バイクや自動車の部品に欠かせない素材です。しかし一度組み付けられた部品の着脱を繰り返すことで、様々な不具合やトラブルが発生することもあります。
カウル類のパネル接合部に使われることが多いツメもその一例で、経年劣化した中古車だとロックを外す際にヒビが入ったり割れることも珍しくありません。また樹脂素材に直接雌ネジが切ってある部品では、締め付けの繰り返しや過大なトルクでネジ山が摩耗し、いわゆる「ネジが上がる(バカになる)」状態になることが少なくありません。
補修部品が容易に入手できれば新品交換で対応できますが、旧車や絶版車で部品が販売終了となっている場合や、破損部分がほんの僅かだった場合には、部品丸ごと交換するのがもったいないこともあります。
パネル接合部分のツメが折れて隙間が空くような時、見栄えを気にしなければ結束バンドで縫い合わせるように固定してその場を凌ぐことはできます。しかし部品側に切った雌ネジにタッピングビスで部品を固定するような場合、ネジを締められないと部品がガタついたり脱落する恐れがあります。結束バンド方式と同様に、山が飛んだ雌ネジに貫通穴を開けて、ボルトとナットで固定する方法もありますが、雌ネジの場所や部品自体の形状によっては穴を開けられないこともあります。
このような場面で効果的なのが「プラリペアによる雌ネジ再生」です。

 
 
 

粉末+液体の組み合わせで多くの樹脂を接着、再生できるプラリペア



合成樹脂のパウダーは粒子が細かく、専用の液剤と混ぜることで狭い隙間にも浸透する。



ガラス瓶入りの液剤を容器に取り分けて、先端にニードルを差し込む。

プラリペアは、合成樹脂の粉末と専用の液体を混ぜて使用するプラスチック補修材で、両者が化学反応を起こしてアクリル樹脂へと重合し、硬化するという仕組みを持っています。一般的な接着剤のように表面を貼り合わせるのではなく、硬化すると新たな樹脂材料として固まるため、補修部分が欠損していても穴を埋めたり形状を再生できるのが特徴です。
接着剤の場合、樹脂の種類によって使える物と使えない物がありますが、プラリペアはABS樹脂やAS樹脂、アクリル樹脂や塩化ビニール樹脂、FRPなどバイク用部品として使用されているさまざまな樹脂素材に対応します。一方で柔軟性のあるポリプロピレンやポリエチレンに対しては使えないので注意が必要です。
ポリプロピレンやポリエチレンなど柔軟性のある樹脂に使えないのは、硬化後のプラリペアはヤスリ掛けしたりドリルで穴開けできるなど、プラスチックと同等の物性を発揮するためです。プラリペアで再生した後に塗装すれば、欠損部分を目立たないよう仕上げることもできます。

 
 

離型剤代わりのオイルを塗布することで雌ネジ形状を再現できる



雌ネジの強度を出すにはプラリペアの充填量が多い方が有利なので、ドリルで下穴を拡大する。



タッピングビスと下穴の間に適度な隙間を設けることで、下穴にもネジ山にもプラリペアが行き渡り強度がアップする。



ネジ山にプラリペアがくっつかないよう、ビスにシリコンスプレーなどを塗布する。ビショビショに濡らす必要はなく、薄くスプレーした後に滴る分はウエスなどで拭き取っておこう。

タッピングビスが空転してしまう樹脂パーツの雌ネジ上がりの修理は、割れたり欠損した部品を補修する作業に比べて簡単です。
まず最初に行うのは補修箇所の清掃と脱脂です。ネジ穴の内部や周辺に油分や汚れが残っているとプラリペアが十分に密着せず、強度が低下する原因になります。パーツクリーナーやアルコールなどで汚れを除去し、乾燥させておくことが重要です。またビスとネジ穴の隙間が少なすぎるとプラリペアが行き渡らず雌ネジの強度も上がらないので、余裕があればドリルで下穴を拡大しておくのも有効です。
次に、使用するビスにオイルやシリコンスプレーを薄く塗布します。この油分が離型剤代わりとなり、硬化後のプラリペアが貼り付くのを防止できます。プラリペアで雌ネジを再生する際に、下穴に充填したプラリペアにネジをねじ込む方法もありますが、今回はビスのネジ山にプラリペアを盛り付けてから下穴に挿入します。
プラリペアが硬化するまでには5分程度の時間が掛かるため、下穴に充填したプラリペアにビスをねじ込むぐらいの余裕はあります。しかし、硬化の過程でねじ込んだビスがズレたり傾くと、雌ネジが拡大して締め付けが甘くなることも懸念されます。
それに対して、あらかじめビスの雄ネジをプラリペアで包んでおけば、下穴に挿入するまでの間にある程度硬化して、雌ネジは雄ネジの形状に従った状態で硬化します。また、ビスに塗布する分と別に下穴にも充填しておけば、ビスと下穴の間に巣穴ができることなく、密度の高い雌ネジを再生できます。
完全に硬化したのを確認したら、ビスをゆっくりと回して取り外します。すると下穴の内側にはネジ山形状が転写されており、新しい雌ネジとして使用できる状態になります。

プラリペアがあれば雌ネジの再生も簡単にできる



ニードルの先端から垂らした液剤を粉末に落とし、液剤が染み込んだ粉末のペーストをネジ山にまとわりつかせる。5分程度で硬化するので、手早く塗布するのがポイントだ。



液剤が多すぎると粉末が流れ落ちてしまうので、適度な粘りを保った状態で盛り上げていく。雄ネジのネジ山にプラリペアが密着することで、しっかり噛み合う雌ネジができる。プラリペアを下穴に充填してビスをねじ込むだけだと、ネジ山にまとわりつかず雌ネジに巣穴ができてしまう場合があるので要注意。



ビスのネジ山への塗布量が少ないと下穴の中で隙間が残ることもあるので、下穴にも充填してからビスを押し込むと良い。この状態でしばらく待つと完全硬化する。



はみ出た部分はヤスリで整形しておこう、プラリペアは塗装もできるので、カウル類の表面を補修した際は補修修理も可能。



ケーブルガイドをセットしてタッピングビスをしっかり締め付けても緩むことはない。部品同士の接着はもちろん、造形にも使えるのがプラリペアの魅力だ。

樹脂部品は軽量で成形自由度が高い反面、ネジ山の耐久性という点では金属に劣ります。しかし、プラリペアのような補修材を活用すれば、摩耗してしまったネジ穴を再生し、部品を交換せずに機能を回復させることができます。
部品が高価な場合や入手困難な場合には特に役立つ方法であり、DIY修理において覚えておくと便利な補修テクニックのひとつといえるでしょう。

POINT
 

 

  • ポイント1・樹脂の雌ネジは部品の着脱を繰り返したり過大なトルクでビスを締めることで破損しやすい
  • ポイント2・粉末樹脂と専用の液体を混ぜて使用するプラリペアは割れた部品の接合や欠損部分の再生に加えて雌ネジの再生にも活用できる
  • ポイント3・ビスにオイルを塗布することでプラリペアがくっつかず雄ネジの形状を正確に転写できる

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/520528/

雌ネジが上がってパーツが固定できない!! そんな時もプラリペアで簡単&確実に補修できる【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/520528/520543/

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