ACCや自動運転の”限界”をプロが指摘!! 本当に価値ある装備とは何かを徹底検証

ACCや自動運転の”限界”をプロが指摘!! 本当に価値ある装備とは何かを徹底検証

 近年のクルマは先進装備が急増しているが、そのすべてがユーザーの利益につながるとは限らない。コスト増の要因にもなるこれらの装備について、実際の使用感や試乗経験をもとに、本当に役立つ技術と疑問が残る機能を整理する。

文:中谷明彦/画像:ホンダ(メイン画像=scharfsinn86)

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先進装備は本当にユーザーのためか?

先進装備の増加は利便性向上と同時に価格高騰も招く
先進装備の増加は利便性向上と同時に価格高騰も招く

 近年の自動車には数え切れないほどの先進装備が搭載されている。安全装備、運転支援システム、快適装備、デジタルインターフェース。技術の進歩によってクルマの機能が大きく広がったことは確かだ。

 しかし、そのすべてが本当にユーザーの利益につながっているのかと言えば、必ずしもそうではない。忘れてはならないのは、こうした装備の開発には莫大なコストがかかるという事実だ。そして最終的にそのコストを負担するのはユーザーである。

 もしそれが実用性に乏しい装備であれば、車両価格の高騰を招くだけの無駄な装備になってしまう。しかもユーザーは実際に購入して使ってみるまで、その価値を判断できない。買ってから役に立たないと気づいたときの失望感は決して小さくないだろう。

 そこで今回は、これまでの試乗経験や実際の使用感を踏まえながら、現代の先進装備の中で本当に役立つものと疑問を感じるものを整理してみたい。

 まず、近年急速に普及した運転支援システムから見てみよう。かつてのクルーズコントロールは高速道路が空いている状況で一定速度を保つための装備だった。しかし現代の交通環境では、たとえ高速道路であっても常に周囲に車が存在する。

 そのため単純な定速走行装置では十分な機能とは言えなくなった。 そこで登場したのがアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)である。前方車両との距離をレーダー測定し、車間距離を維持しながら自動的に加減速を行う。

 高速道路の渋滞や料金所通過時などでは確かに有効で、ドライバーの負担を軽減する装備であることは間違いない。しかし、レーシングドライバーの視点から見ると、この装置にも限界がある。

 ACC作動時の動きは前走車の挙動に強く影響される。もし前のドライバーが速度を安定させない運転をしていれば、ACCはその不安定な走行をそのまま追従してしまう。上り坂で急に速度が落ちたり、突然加速したりするような走行パターンに引きずられれば快適性も燃費もむしろ悪化することになる。

 さらに言えば、機械はあくまで前方車両を追従するだけだ。もし前走車が異常な行動を取れば、それをそのまま追ってしまう危険性もある。つまり、便利な装備ではあるが「安心して完全に任せられる装置」では決してない。

自動運転はまだ遠い? 技術の理想と現実のギャップ

自動運転は現状では完成度が低く課題も多い
自動運転は現状では完成度が低く課題も多い

 このような状況を見ると、現在盛んに語られている自動運転の実現にはまだ大きな距離があると言わざるを得ない。レーダーやカメラ、さらにはLiDARなど精密計測機器を多数搭載し、周囲の状況を解析して自動的に走行するという構想は理想的ではある。

 しかし現状の完成度を率直に評価すれば、僕の採点では100点満点中10点にも満たない。そもそも運転という行為は人間の身体感覚と判断力によって成立している。

 レーシングドライバーはシートやステアリングから伝わる振動やタイヤのグリップ変化、車体の姿勢変化を瞬時に感じ取りながら操作を行う。こうした情報を完全に機械が代替することは容易ではない。さらに問題なのは引き継ぎである。

 もし自動運転機能に任せてドライバーがリラックスしていた状態から、突然操作を引き継ぐ必要が生じた場合、瞬時に状況を把握して正確な操作を行える保証はない。実際にはこの部分が最も危険なのだ。

 むしろ安全性の観点から重要なのは、車同士や歩行者との通信による情報共有だろう。例えば数台先の車両のブレーキ情報をリアルタイムで後方へ伝えるシステムや、交差点での衝突リスクを車両同士が通信で知らせ合う仕組みなどである。

 こうした技術はレーダーやカメラに頼らない新しい安全技術として、もっと真剣に検討されるべきだ。

 一方で、本当に役立つ装備も確実に存在する。例えばABSやトラクションコントロールを発展させた電子制御シャシーシステムは、現代のクルマには不可欠な技術と言っていい。さらに僕が注目しているのが後輪操舵システムだ。

 後輪を操舵することで高速安定性を高めるだけでなく、低速域では逆方向に操舵して最小回転半径を大きく縮める。欧州のプレミアムカーではすでに一般的な装備になりつつあり、車体が5メートルを超える大型車でもコンパクトカー並みの取り回しが可能になる。

 一度この機能を体験すると、普通の前輪操舵車では取り回しが悪く感じるほどだ。こうした装備は、確実に価値のある先進技術と言えるだろう。

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