お正月の箱根駅伝を見ていると、走る選手の背後にクルマがチラチラと見え隠れする。スポンサーであるトヨタが提供する大会関係車両はクルマ好きたちの新年の注目ポイントだ。ここでは「スポーツを支えるクルマ」にスポットをあてる。
※本稿は2026年2月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ステランティス、ヒョンデ、トヨタ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2026年3月26日号
サポートに盛り上げ役に五輪とクルマたちの絆
雪煙を舞い上げ、銀盤にシュプールを描くアスリートたち。ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪。熱狂の渦の中心には、限界に挑む人間の美しさがある。だが、その熱狂の「舞台裏」を支え、ともに走る鋼鉄の相棒たちの存在を忘れてはならない。
今大会、開催国イタリアの誇りを胸に、モビリティの主役を務めるのはステランティスだ。彼らはオートモティブ・プレミアムパートナーとして、五輪会場周辺を駆け抜ける。
驚くべきは、単なる移動手段としての提供にとどまらない点。フィアットは、最新のBEV「600e」に、五輪の精神を宿した「600e ミラノ・コルティーナ エディション」を投入。イタリアの美意識と、環境への挑戦を同時に世界へ知らしめる、走る宣言書だ。
振り返れば、オリンピックと自動車メーカーの関係は、常に情熱的なドラマに満ちていた。2021年の東京オリンピック。
トヨタはワールドワイドパートナーとして、選手村に自律走行車「e-Palette」を投入し、未来のモビリティ社会の姿を提示した。それは単なる車両提供ではなく、日本の技術力と「おもてなし」の心を世界に問う、全力の挑戦でもあった。
また、メーカーの情熱はアスリートの「脚」そのものにも注がれる。2018年、平昌。ヒョンデはなんと、氷上のF1と呼ばれる「ボブスレー」の開発に参入した。空力性能と剛性、そしてコンマ1秒を削るための技術。彼らの執念は、競技用ソリという形を変えたマシンとなって氷上を駆け抜けたのだ。
そして、2006年のトリノ。極寒の夜を震わせたのは、跳ね馬の咆哮だった。開会式にサプライズで姿を現わした深紅のフェラーリF1は、華麗なドーナツターン決める。猛烈な白煙がスタジアムを包んだ圧巻の光景は、今も語り継がれる伝説となっている。
五輪という晴れ舞台。主役は間違いなくアスリートだ。しかし、その足元を支え、会場を駆け巡り、時には自らも風となって限界に挑む自動車メーカー。彼らは決して脇役ではない。
情熱という燃料を注ぎ込み、平和の祭典をドラマチックに加速させる。クルマこそが、オリンピックという聖なる戦いを完遂させるための、「影の主役」だ。
「ミラノ」として始まったクルマ
前代未聞。それはアルファロメオから「ミラノ」という名前で世の中に発売される一台があったことだ。
しかし誕生直後、イタリア国外生産を理由とした政府の糾弾によりジュニアへと改名された。名は変われど、その魂にはミラノの誇りが刻まれている。























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