アクセルは右足、ブレーキも右足。自動車教習所で叩き込まれるこの基本操作に対し、あえて左足でブレーキを操作する「左足ブレーキ」がネットやクルマ好きの間でたびたび議論の的となる。モータースポーツの世界では常識のテクニックだが、一般道での使用は果たして正解なのか、それとも危険な行為か。「謎テク」のメリットとデメリットに鋭く切り込んでみよう!
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock
【画像ギャラリー】これが左足ブレーキのテクニック!(4枚)画像ギャラリー踏みかえゼロの衝撃! 空走距離を削り取るコンマ数秒の威力
左足ブレーキ最大のメリットは、なんといっても「反応速度」の向上だ。右足一本で操作する場合、アクセルからブレーキへ足を移動させる「踏みかえ」の時間がどうしても発生する。
しかし、左足を常にブレーキペダルの上に添えておけば、危険を察知した瞬間に制動を開始できる。時速60kmで走行中、踏みかえに0.2秒かかるとすれば、その間にクルマは約3.3mも進んでしまう。このわずかな距離の差が、衝突を回避できるかどうかの運命を分けるというわけだ。
また、構造的にアクセルとブレーキを完全に別の足で担当するため、パニック時の「踏み間違い」による暴走事故を防げるという意見もある。右足は加速、左足は停止と脳内で役割を分担できれば、アクセルをブレーキと間違えて力いっぱい踏み抜く悲劇は理論上起こり得ない。
さらに、渋滞中や坂道発進での微細な速度調整がしやすくなるなど、習得すればドライビングの質を一段階引き上げる武器になることは間違いないだろう。
ちなみに道交法などに、左足ブレーキを禁じる条項はない。
身体への負担と操作ミス! 安易な導入を阻む高いハードル
一方で、否定派が懸念するリスクも無視できない。最大の懸念は、利き足ではない左足の「繊細なコントロール」の難しさだ。普段、フットレストで体を支える役割を担っている左足は、右足に比べて力加減の調節に慣れていない。初心者がいきなり挑戦すれば、カックンブレーキを連発するだけでなく、後続車に追突される危険すらある。
また、常にペダルに足を乗せていると疲れるうえ、無意識のうちにブレーキを引きずり、ブレーキランプが点きっぱなしになる恐れがある。さらに緊急時に両足に力が入ってしまい、アクセルとブレーキを同時に踏み抜いてしまう可能性も。最近のクルマには「ブレーキオーバーライドシステム(ブレーキ優先機能)」があるが、過信は禁物だ。
クルマの構造上の問題も見逃せない。多くの国産車は右足での操作を前提に設計されており、ブレーキペダルが右寄りに配置されているケースも少なくない。このような車種で無理に左足ブレーキを使おうとすると、股関節を無理に閉じるような不自然な体勢になり、姿勢が落ち着かず長距離ドライブには適さない。とっさのハンドル操作にも悪影響を及ぼしかねない。
結局のところ、左足ブレーキは「中途半端な習得が一番危ない」というのが現実的な着地点だろう。もし実践するなら、体への負担がないポジションを確保できるか確認したうえで、十分に安全な広場などでクリープ現象を利用した低速域から練習する必要がある。
さらに最近では、ワンペダルドライブを採用する電気自動車なども増え、ペダル操作の概念そのものが変わりつつある。ブレーキングの基本はあくまで「安全に止まれること」。自分のスキルと愛車のペダル配置を冷静に見極め、最適な操作方法を選択してほしい。






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