停止時に「ガクッ」と前のめりになるカックンブレーキ。運転歴が長くてもクセになっている人は少なくない。しかしブレーキ操作には明確な基本があり、それを順序通りに実践するだけで乗り心地は劇的に変わる。本記事では「アリさんブレーキ」による車速コントロールと、正しい足の使い方を具体的に解説する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock、トビラ写真(写真AC)
同乗者を不快にさせるカックンブレーキをしていませんか?
信号や交差点で停止する際、最後に「ガクッ」と前のめりになる止まり方をしていないだろうか? これがいわゆるカックンブレーキである。運転者本人は意外と気づきにくいが、同乗者にとってはかなり不快であり、運転が雑に見える大きな要因でもある。
原因は単純で、停止直前にブレーキペダルを強く踏みすぎてしまうことにある。減速のコントロールができておらず、最後に急激に制動力がかかることで、クルマが前後に揺れてしまうのだ。
そこで覚えておきたいのが「アリさんブレーキ」である。これは名前の通り、アリが歩くようにじわじわと減速していくイメージのブレーキ操作だ。
ポイントは最初にやや強めに踏んで減速を開始し、その後は徐々に力を抜いていくこと。停止直前は極めて弱い力でペダルをコントロールし、スーッと止まるのが理想である。
多くのドライバーは「止まる直前に踏み足す」クセがあるが、これがカックンブレーキの原因になる。逆に、停止に近づくほど力を抜いていく意識を持つだけで、驚くほど滑らかな減速ができるようになる。
こうしたスムーズかつ精細なブレーキコントロールを操作することを可能にしているのが、かかとを床につけてブレーキペダルを踏むことである。この踏み方は、アリさんブレーキに必須のテクニックで、急激な減速を避けながら、じわじわと速度を落としていく操作のこと。
AT車はブレーキペダルを離すとクルマがゆっくり動き出すクリープ現象が発生する。このクリープ現象をブレーキペダルをそっと操作して極低速でコントロールする。この極精細なブレーキコントロールを行うには、カカトと床に付けることが必要なのである。
カカトを浮かせるとペダル踏み間違いも誘発

スムーズなブレーキ操作を支えるのが、足の正しい使い方だ。アリさんブレーキをするうえで特に意識したいのが「カカトの位置」である。
基本は、右足のカカトを床に軽く接地させた状態でペダル操作を行うこと。この位置を基準にして、つま先側でブレーキを踏み込む。減速中もかかとは床から離さず、足首の動きで踏力を調整していくのが理想だ。
アクセルからブレーキへ移るときも、足を大きく持ち上げる必要はない。カカトを支点にして足先を横方向に動かすイメージで踏み替えれば、無駄な動きが減り、操作の正確性が高まる。再びアクセルに戻るときも同様で、足をひねるようにして位置を移すことでスムーズな操作が可能になる。
このようにカカトを安定させることで、ブレーキの踏力を細かくコントロールできるようになる。アリさんブレーキのような繊細な減速操作は、この土台があってこそ成立する。
逆に、カカトを浮かせた状態では足全体が不安定になり、踏み込み量にムラが出やすい。その結果、ブレーキが効きすぎたり不足したりして、カックンブレーキの原因となる。また、足の位置関係が曖昧になるため、ペダルの踏み間違いを誘発するリスクも高まる。
なお、危険回避時の急ブレーキでは状況が異なる。この場合は一気に強く踏み込む必要があるからこのような状況ではカカトを床に付ける必要はない。
車庫入れや縦列駐車など、クルマをゆっくりと動かすシーンでとても役立つほか、実は高速走行においても微妙なコントロールをするうえで重要なテクニックなのだ。
日常の何気ない停止動作を見直すだけで、運転の質は大きく変わる。カックンブレーキから卒業し、同乗者にも優しいドライビングを実現したいところだ。
【画像ギャラリー】アリさんブレーキって何? カカトを床につけてブレーキペダルをゆっくり踏むこと!(3枚)画像ギャラリー





コメント
コメントの使い方