ゴリゴリのセールストークで押し込む営業マンは、令和になって確実に減っている。クルマの売り方が変わった今、ユーザーが吟味すべきポイントも変化しているのだ。値引き額でも担当者の個性でもなく、「店舗全体の質」こそが、これからのカーライフを左右する。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】「店舗」としての強さはチーム力にあり! これからは総合力が試される時代だ。(4枚)画像ギャラリー「売ってナンボ」の営業マンが減り、寄り添う営業マンが評価される時代になった
かつての自動車営業マンといえば、成績偏重が当たり前だった。新車を売り、点検入庫率を上げ、保険や割賦の契約を積み重ねる。数字を上げれば個人フィーが増え、出世も早い。会社もそういう人材を期待し、育ててきた。
今もゼロではないが、そうした力技型の営業マンは全体として減ってきている。代わりに増えているのが、押しは強くないが面倒見がいい、いわば「平和な営業マン」だ。
新車販売や付随契約の成績は中程度でも、点検入庫率が高く、顧客満足度(CS)のアンケートで高評価を集める。具体的には「対応が丁寧」「相談に乗ってくれる」「付き合っていて心地いい」という声が多く、ディーラーの評価指標としても重視されるようになってきた。
顧客と同じ目線に立って共に考える営業マンのほうが、グイグイ引き込む営業マンよりも好かれ、会社からも評価される。そういう時代になったということだ。特に押し売り営業が苦手な若い世代のユーザーは、こうした当たりの柔らかい営業マンをディーラーで探すとよい。
良い営業マンを見つけても、数年で異動してしまう現実がある
ただし、令和のカーライフには、もうひとつ見落とせない変化がある。営業マンの異動が頻繁になっているという点だ。
かつては「客は営業マンに付く」という考え方が強く、10年以上同じ店舗で働き続ける営業マンも珍しくなかった。異動があっても近隣の店舗にとどまるケースがほとんどで、ユーザーとの長期的な関係が保たれやすかった。しかし今は、エリアをまたぐ遠方への異動も珍しくなく、数年付き合ってきた担当者がある日突然、物理的についていけない距離の店舗へ移ってしまうことがある。
どれだけ信頼できる営業マンと出会えたとしても、その関係が長続きするとは限らない。だからこそ、営業マン個人の質だけでなく、店舗そのものの質を見極めることが、これからのカーライフにおいて重要になってくる。
選ぶべきは「担当が変わっても安心な店舗」だ
令和の良いディーラー選びの基準は、「担当営業マン以外でも代わりが利くか」に尽きる。スタッフ同士の連携が取れており、初めて対応するスタッフでも客の名前を把握して自然に話しかけてくれる店舗は、組織としての顧客対応力が高い証拠だ。
一方、自分の担当客以外への対応を面倒と感じるスタッフが多い店舗では、担当が休みの日や異動後に不快な思いをするリスクが高い。スタッフ個々の意識と、店舗としての文化の両方を見ておく必要がある。
見極めの実践的な方法として、あえて担当スタッフが不在の日にディーラーを訪問してみるという手がある。他のスタッフがどう対応するかで、店舗全体のサポート力が透けて見えるからだ。値引き額や担当者の愛想だけで判断せず、こうした角度からも店舗を観察してほしい。
報奨金の支給形態も、営業マン個人単位から店舗全体への支給へと移行するケースが増えてきた。店舗を単位としたチームワークが重視される方向に、ディーラーの評価構造そのものが変わりつつある。
良い店舗を育て、組織として顧客を支える体制を整えるディーラーこそが、これからも選ばれ続ける存在になるだろう。ユーザーには、ぜひ「店舗を見極める目」を持ってほしい。
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