正しい操作を行わないと「ギーギー……」や「プスン!」などのアラートを出すMT車と違い、運転や整備の手間が少ないAT車。愛車いじめにつながる行為も、現代のAT車はそれさえも許容してしまうが……。
文:山口卓也/写真: 写真AC
【画像ギャラリー】愛車を傷める悪習慣とは?(4枚)画像ギャラリー完全停止前にDからRレンジに切り替える
昔から「クルマが完全に停止していないうちにD↔︎Rに変速するとATがブッ壊れる」とはよく聞く話。
筆者も急いでいる時に18年落ちの愛車の駐車時にたまーにやってしまうが、少しでもクルマが動いていると「ピピピ……」と警告音が鳴り、前進からすぐには後退しない(ワンテンポ遅れる)ようになっている。
また最近のクルマでは、ある一定以上の速度ではD↔︎Rへの変速を行わないものもある。
考えてみればMT車のように機械的にリバースギアにガチン! とギアが噛み込んで変速するわけじゃないから、いきなりブッ壊れたりするかな? とは思う。
ユーザーがこんな間違った操作をする場合もあることは、ある程度メーカーでは想定済みで、現代のクルマでは前述のように一定以上の速度では変速できないようになっていたり、警告音を発してすぐにはDやRレンジに入らないような設計になっている。
つまり、現代のAT車なら「いきなりブッ壊れるわけではない」とはいえ、機械的に負荷が発生しているのはまぎれもない事実。
また、年式の古いAT車ではミッションを守る安全装置を持たないものもあるだろう。
愛車を大事にしたいと思うなら、やはりクルマを完全停止させてからシフト操作するほうが機械的に正しいのは間違いない。
Pレンジだけで駐車
パーキングブレーキを使わず、Pレンジへのシフトだけで駐車する人は少なからずいる。筆者が友人の愛車を動かすことになった時、パーキングブレーキを戻そうと「どれだ??」と探したらすでに戻っていたことがある。
友人がうっかりパーキングブレーキをかけるのを忘れたのか、クセなのかはわからない。ただ、最後にパーキングブレーキを引いてからエンジンストップするクセがついていたのでかなり違和感を感じた。
しかし、結論から先に言うと、この「Pレンジだけで駐車」も、さらに「Pレンジ→パーキングブレーキ」も正しい駐車方法や手順ではない。
「Pレンジ→パーキングブレーキ」は非常に多くのドライバーがやっている行為だと言うが……。
⚫︎「Pレンジだけで駐車」は危険!
Pレンジにシフトすると、「パーキングロックポール」という金属パーツがギアに噛み込むことで、物理的にクルマは動かないようになる。
ただ、このパーキングロックポールは頑丈ながらも小さな部品のため、例えば坂道などで数トンのクルマを確実に動かないようにするには非常に心許ない。
この状態で他車に軽く当てられてしまったり、大きな揺れが起こった場合はパーキングロックポールが破損もしくは噛み合わせから外れて、クルマが動き出す可能性がある。
よって、愛車保護と他車や他人を巻き込みかねない事故を防ぐためにも、平地や坂道を問わずパーキングブレーキを必ず使うクセをつけておきたい。
⚫︎「Pレンジ→パーキングブレーキ」をやる人は多いが……
先に、「Pレンジに入れるとパーキングロックポールがギアに噛み込む」と書いた。この状態でパーキングブレーキをかけると、パーキングロックポールはガッチリとギアに噛み込んだまま止まっていることになり、金属に負荷がかかった状態となる。
よって、トランスミッション内のパーツにできるだけ負荷をかけずに止めておくほうが機械的負担を軽減させ、愛車が長持ちするのは言うまでもない。
正しい駐車手順は
1.フットブレーキを踏み、クルマを完全に停止させる
2.フットブレーキを踏んだまま、パーキングブレーキをかける
3.Pレンジにシフトし、ゆっくりとフットブレーキから足を離す
⚫︎「完全に停止→Pレンジにシフト→フットブレーキから足を離してからパーキングブレーキ」もNG!
正しい手順と違うのは、Pレンジにシフトするタイミングとフットブレーキから足を離すタイミング。
Pレンジに入れることでパーキングロックポールは正しい位置にセットされたが、フットブレーキから足を離したことでクルマは少しだけ動き、そのせいでパーキングロックポールがギアにガツン! と叩きつけられて喰い込むことで過大な荷重がかかった状態に……。
その後にパーキングブレーキをかけると、大きな荷重のかかった状態を維持することになるのでやめるべき。
順番がわからなくなりそうだが、自身が行う操作で「今、クルマの各部はこうなっているな……」と想像しながら操作を行うと、何が愛車に良くないことなのかが理解できるだろう。
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