かつて人気を集めたクルマが時を経て復活するケースはままある。しかし、その復活が空振りに終わることも少なくない。今回は、期待を背負って復活したものの、成功を収めることなく終わった残念なモデルを紹介していこう。
文:長谷川 敦/写真:フォルクスワーゲン、ホンダ、マツダ、CarWp.com
【画像ギャラリー】期待はMAX、現実は苦戦(15枚)画像ギャラリー先代が偉大すぎた?
●ホンダ NSX
ホンダ製エンジンが自動車レースの最高峰F1で猛威をふるっていた1990年、同社初の本格的ミッドシップスポーツカーが誕生した。
New SportsCar Xの略であるNSXの名を持つそのスポーツカーは、3リッターV6エンジンを後輪直前に配置するミッドシップレイアウトを採用し、軽量なアルミ製ボディや、スポーツカーにしては高い実用性、そして欧米のスーパースポーツカーに比べれば購入しやすい価格設定で大人気車になった。
結局初代NSXは2005年まで生産されるロングセラーになり、後継車種の登場もなかったことから1代限りのモデルで終わったものと思われた。
しかし、初代の生産終了から11年の時を経て、新世代のNSXが誕生した。
北米では2016年に販売が開始された新生NSXは、3.5リッターV6ツインターボエンジン+3基の電動モーターを搭載するハイブリッドモデルにリニューアルされ、システム最高出力が581ps(427kW)というハイパワーカーになった。
比較的コンパクトなエンジンを搭載し、軽量な車体が生むハンドリング特性のよさもウリにしていた初代に対し、2代目NSXはハイブリッドとはいえ高出力を全面に打ち出していた。
だが、エコ時代に合わなかったのか新型NSXの販売成績はそこまで上がらず、2022年をもって生産終了という短命なモデルに終わってしまった。
●フォルクスワーゲン ビートル
ドイツ・フォルクスワーゲン(VW) の初代ビートルことフォルクスワーゲン タイプ1は、1938年に製造がスタートすると、実用性と耐久性の高さ、そしてリーズナブルな販売価格でまたたく間に世界的なヒットモデルになった。
メーカー名の「フォルクスワーゲン」自体が「国民車」を意味する言葉なのだが、初代ビートルは国民車を飛び越えて世界の大衆車の地位を獲得した。
超ロングセラーになった初代ビートルも1998年に後継モデルのニュービートルが登場したことで世代交代を実現させた。
しかし、残念ながら2代目ビートルは初代ほどの世界的ヒットモデルにはなれず、2010年に製造販売が終了してその3年後には3代目のビートルがデビューする。
ザ・ビートルの名称が与えられた3代目も、偉大な初代モデルの成功を再現することができずに2019年に生産を終え、現時点でビートルの系譜は途絶えている。
名前は同じだが、何かが違う…
●ダッジ ダート
アメリカのクライスラーがダッジブランドで1960年から販売していた乗用車がダート。
当初は大型のモデルだったが、世代を重ねるに連れて徐々に小型化され、1967年発売の4代目では、クライスラーのモデルとしては比較的コンパクトなボディを持っていた。
それでも7.2リッターV8エンジン搭載モデルをラインナップしていて、そういう意味では大型の“アメ車”ではあった。
このダートは4代目をもって生産が終了となり、長らくダートの名を持つモデルは登場しなかった。
だが、2012年にダッジはダートの名を復活させた。
30数年ぶりに登場した5代目は、4代目までとはうって変わって正真正銘のコンパクトモデルになった。
グループ会社・アルファロメオのジュリエッタをベースにした5代目ダートは、伝統の名を継承するものの、先代モデルとはまるで違うクルマになったが、残念ながら市場では成功を得ることはなかった。
販売が伸び悩んだことから5代目ダートは2016年に生産が終了し、再びこの車名は途絶えることになった。
●マツダ キャロル
こちらは「失敗」というより「変質」によってファンを落胆させたクルマ。
1962年にデビューしたマツダのキャロルは、当時多数のライバルがいた360ccの軽自動車にあって、4ドアセダンタイプのボディが異彩を放ち、それが多くのユーザーを獲得する要因にもなった。
こうしてスタートダッシュを決めた初代キャロルだったが、ライバルの反撃も凄まじく、1970年の生産終了時には市場でも苦戦を強いられていた。
そんなキャロルの名称は1989年に復活するが、19年のブランクの後に登場した2代目キャロルは、マツダ独自のモデルではなくスズキ・アルトをベースに開発されたモデルになった。
キュートなルックスの2代目キャロルは女性層を中心に好調なセールスを記録し、1995年登場の3代目もこの路線を継承していた。
1998年には4代目がデビューするが、この代からは完全にスズキ アルトのOEM車になった。
4代目以降のキャロルはアルトのエンブレム違いであり、先代まではあったマツダの独自性もなくなり、それは現行の9代目まで続いている。
キャロルの復活は失敗ではないが、初代と同じ出で立ちのクルマではなくなっている。
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