最近のクルマは総じて便利になり、ATはもちろん、運転支援システムなども充実し、今まで不便と思っていなかった所までが便利になる手厚さだ。しかし本当にそれでいいのか? クルマを操るのは我々だ。クルマに操られてはいないか?
※本稿は2026年5月のものです
※なお、本稿で言及した車種のすべてにMTが設定されているわけではない
文:伊達軍曹/写真:トヨタ、スズキ、マツダ、ダイハツ、ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2026年6月26日号
運転支援システムもATも否定はしないが……俺は俺のやり方でこの道を走る!
今や各種の電子デバイスは「神の領域」にも達している。高度なシステムはドライバーの未熟さを隠蔽し、誰でも破綻なく、速く走らせてくれる。だが、そんなフィルター越しに伝わる運転快楽に、真の快感は宿っているだろうか?
今あえて殉じるべきは、MT車を筆頭とした「電子デバイスへの依存度が極力低い、プリミティブなモデル」たちだ。もちろんそれらにも、今どきの電子デバイスは付帯している。
だが、あくまでも基本的な素性を磨き込むことで、電子制御の介入に頼らずとも操縦の機微をダイレクトに伝えてくれるのが、そういったモデルたちなのだ。
そしてそれらが「MT車」であったならば、さらに最高である。当然ながらMT車には、最新AT車のような効率性はないため、少々の不利益も伴うだろう。
だが、それらはすべて「クルマの挙動を自分の支配下に置く」という快楽を得るための、納得済みのコストだ。
クルマに「乗せられる」のではなく、自らの技量で物理法則と対峙する。そういった「不自由な自由」こそが、実は真の自由だといえるはずなのだ。
トヨタ ランドクルーザー70
さすがにToyota Safety Senseやアクティブトラクションコントロールなどは標準装備だが、それらはある意味最低限。アナログ感あふれるデザインとともに、手動車に近い味わいを存分に堪能できる。
トヨタ ヤリス
1.5Lガソリンエンジンの6MT車は意外にも手動感たっぷり。もちろんToyota Safety Senseは標準装備だが、駆動方式は違えど「令和のAE86」と呼びたくなるほど、軽快でアナログな走りが楽しめる。
スズキ ジムニーシエラ
アダプティブクルーズコントロールなどは標準装備だが、それでも「余計なモノ」はほとんど付いていないため、特に5MT車であれば手動感は充分。電子デバイス頼みの4WD車とは、やはりひと味違う。
マツダ ロードスター
「ND2」と呼ばれる2024年1月以降の大幅改良世代はエレキプラットフォームの採用によりさまざまな制御が刷新されたが、走行中の電子制御の介入は必要最小限。
それゆえ1960年代の英国製ライトウェイトスポーツとある意味同様の「手動感」を、現代のクルマであるにもかかわらず、思いっきり堪能できる。ど真ん中のグレードである「S スペシャルパッケージ」の6MTを選んでおけば、向こう10年間は最高の手動車ライフが楽しめるはず。
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