50代以上のおじさん世代にとっては当たり前のドライビングテクニック。しかしZ世代やクルマ好きではない人にとっては、ただの知らない、マニアックなものかもしれない。いや、今ではそのおじさん世代でも忘れさられているかもしれない。そんな昔のドライビングテクニックは今でも通用するのだろうか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock、トビラ写真:日産自動車
回転に合わせてつなぐダブルクラッチ
「ダブルクラッチ」とは、マニュアル車でギアを変える際、一度クラッチを切ってギアをニュートラルにし、エンジン回転数を合わせてからもう一度クラッチをつなぐという操作のこと。
今50代以上のおじさんが若い頃のクルマにはごく普通に使われていたテクニックだ。かつてのMTは、ギアを変えるときにギア同士の回転速度を同調させる「シンクロメッシュ機構」がなかったり、その性能が不十分だったりしたため、回転数を自分で合わせてあげないと、ギアがスムーズにつながらなかったのだ。
昨今のMT車には、シンクロ機構が搭載されているため、ドライバーがダブルクラッチで回転数を合わせなくても、シフトチェンジの際にクラッチを切るだけで滑らかに変速することが可能。
スムーズにMT操作ができると、横に座った女の子からうっとりされたものである。
MT車の基本的な運転テクニック「ヒールアンドトゥ」
スポーツ走行で素早いコーナリングを行うための運転テクニックにヒール&トゥがある。右足のつま先(トゥ)でブレーキを踏みながら、右足のかかと(ヒール)でアクセルを吹かし(ブリッピング)、シフトしたギヤに適切なエンジン回転数を合わせることで、コーナーの立ち上がり時に鋭い加速を得るドライビングテクニックだ。
もっと細かくいうと、右足のつま先(トゥ)でブレーキを踏んで、シフトダウンの瞬間につま先の踏力を維持したまま。右足のかかと(ヒール)でアクセルを「ちょん」とあおり、エンジンの回転数を上げて低いギヤにつなぐことでスムーズな挙動につながるのだ。
もちろん、街中ではする必要もないが、ワインディングやサーキットでのスポーツ走行には必須なので、まだできていない人は練習して習得したい。
MT車のブリッピング
街中を歩いていて、走っているクルマが停止する直前で「ブォンブォン」と空ぶかしのような音が聞こえることがある。おじさん世代のMT乗りはほぼやっていたと思うこのブリッピング。低いギアへシフトダウンするとき、クラッチを切った状態でアクセルペダルを瞬間的に踏み込んでエンジン回転数を高め、低速ギアとスムーズにつなげるドラテクだ。
MT車でシフトダウンする時にガクッというショックが出ないばかりか、ヒールアンドトゥと合わせて強いエンジンブレーキを効かせ、次のシフトアップのために使われているのだ。
最近ではドライバーがシフトダウンしただけで適切なエンジン回転数を算出し、自動制御でブリッピングするMT車もある。フェアレディZのシンクロレブコントロールやGRカローラの6速iMT、シビックタイプRのレブマッチシステムがそれだ。
例えばGRカローラの6速iMTは、シフト前方にあるiMTスイッチを押すと、6速iMTがスタンバイ状態に。この状態で変速動作(クラッチ操作、シフト操作)を検出すると、変速後のエンジン回転数を合わせるように制御し、スムーズな変速をアシストする。アクセルをあおらずにシフトダウンしても、自動でエンジンの回転が上がるので、ショックを感じることはほとんどない。
ちなみにオートブリッピングは普段の街乗りだけでなく、ワイディングでも有効。高いアベレージで飛ばした時でも「フォン、フォン」と軽快なエンジンサウンドとともに回転を合わせてくれる。
ヒールアンドトゥでブリッピングを行うには初心者には練習が必要だが、この自動ブリッピングがあれば華麗なテクニックを勝手に行ってくれるのだからいい時代になったものだ。



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