イヴェコが2026年モデルのトラックを発表! タタとの統合を控えてBEVでも巻き返しを図る

イヴェコが2026年モデルのトラックを発表! タタとの統合を控えてBEVでも巻き返しを図る

 イタリアのイヴェコは2026年モデルのトラック・バンを発表した。タタによる買収手続きが順調に進んでいるようで、新時代のイヴェコをデザインに反映し、「顧客にとって最高のパートナーになる」というマニュフェストの実現に向けた決意を込めた。

 同社は欧州のバッテリーEV市場での苦戦も伝えられるが、最大のボリュームゾーンである長距離輸送用の4×2トラクタが投入されるこれからが本番。2026年モデルで巻き返しを図る。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Iveco Group N.V.

イヴェコ、2026年モデルのトラック・バンを発表

イヴェコの2026年モデル
イヴェコの2026年モデル

 イタリアの大手商用車メーカー・イヴェコは2026年7月3日、小型バンから大型トラクタまでモデルイヤー2026(MY26)の商用車を発表した。また、7月1日から4日まで「イヴェコ・エクスペリエンス2026」を開催し、顧客・ディーラー、サプライヤ、協力会社、メディアなど2000人がトリノに集まった。

 このイベントは、ブランドのルーツがこの街にあることを示すとともに、創造性、革新性、人と人のつながりを再確認するものだという。

 イヴェコは2025年からインドのタタ・グループによる買収手続きを進めている。防衛部門の分離が完了し、タタによると取引は2026年第3四半期中に完了する見込みとなっている。

 提供する車両を通じて顧客にとって最高のパートナーになることがイヴェコの掲げるマニュフェストで、「スピリト・イン・モヴィメント」(躍動する精神)という新しいブランドアイデンティティは、品質・革新・顧客との密接な関係を表現しているという。

 イヴェコグループCEOのオロフ・パーソン氏は次のように話している。

「2年前、お客様にとって真のプレミアムパートナーになるという明確な目標を掲げました。品質をあらゆる活動の中心に据えて、働き方を改革し、企業文化を強化し、クラス最高の製品を提供するために必要な投資を行なってきました。

 スピリト・イン・モヴィメントは単なるスローガンではありません。それはイヴェコの個性であり、品質を向上し、お客様の成功を約束する頼れるパートナーになるというコミットメントを表しています」。

「躍動」における3つの柱

イヴェコが2026年モデルのトラックを発表! タタとの統合を控えてBEVでも巻き返しを図る
イヴェコのロゴとブランドアイデンティティの「スピリト・イン・モヴィメント」(躍動する精神)

 このスローガンを支える3つの柱として、同社は「モーション・バイ・デザイン」「モーション・スルー・エクスペリエンス」「モーション・アズ・ファミリー」を掲げている。

 トラック事業担当プレジデントのルカ・スラ氏はこれを次のように説明している。

「モーション・バイ・デザインとは、お客様のニーズに自然かつ効果的に適合する車両、サービス、ソリューションを作って行くことを表しています。モーション・スルー・エクスペリエンスとは、お客様の抱える課題を理解し、あらゆる接点を通じてプレミアムな体験を提供することを表します。

 そしてモーション・アズ・ファミリーは、弊社を特徴づける信頼とサポート、コミュニティ意識を反映するもので、人材と専門知識、サービスを通じてお客様と永続的な関係を築くことを意味しています。

 これらの柱が一体となって、私たちがプレミアムパートナーとなるための基盤を形作ります」。

イヴェコのMY2026

イヴェコが2026年モデルのトラックを発表! タタとの統合を控えてBEVでも巻き返しを図る
イヴェコ・S-ウェイ大型トラックの2026年モデル

 ブランドの進化を体現するMY26のトラック・バンは、燃費、快適性、コネクティビティ、カスタマイズ性を向上し、先進的なエンジニアリングとイタリアンデザインを融合させたという。

 全レンジで統一のビジュアル・アイデンティティを導入し、車両の基本カラーは「イヴェコ・グレー」と呼ばれるカラーとなった。イタリアの伝統と機能、エレガンスとスタイルを表すという。

 この基本色に対してデュアルカラー・シグネチャーが定義され、大型トラック「S-ウェイ」をはじめとする内燃エンジン(ディーゼルエンジンと天然ガスエンジン)では「タッチ・オブ・レッド」をアクセントカラーとする。これはブランドの伝統とエネルギー、決意と熱意をデザインで表したものだという。

 その大型トラック「S-ウェイ」では、「Xカーソル13型」ディーゼルエンジンの最適化、ミラーカム(リアビューミラーに代わるカメラ&モニター)・キャブデザイン・ルーフ&サイドスポイラーによる空力改善、GPSと三次元地図による予測制御クルーズコントロールなどにより燃費を大幅に向上したという。

イヴェコが2026年モデルのトラックを発表! タタとの統合を控えてBEVでも巻き返しを図る
大型トラック単車系のバッテリーEVとなるS-eウェイ(MY26)

 いっぽう大型バッテリーEV(BEV)トラックの「S-eウェイ」は、リジッド系(イタリア語「カビナート」)とトラクタ系(同「トラットーレ」)でキャブデザインが異なる。なおBEVのアクセントカラーは、レッドに代わりブルーだ。

 イヴェコは提携していた米国のニコラが破産した影響もあり、BEVトラックでは欧州の競合メーカーとの差が開いている。ただ、欧州市場の主流となっている長距離輸送用4×2トラクタは2026年の市場投入としており、MY26での巻き返しを図る。

 リジッド系はS-ウェイと共通感のあるキャブで、モジュール式のバッテリーパックは最大7基・490kWhを搭載可能。これにより航続距離は最大400kmとなる。標準は5基による350kWhで、4基280kWhのレスオプションも用意する。バッテリーパックは1基当たり約400kgとなるようで、7基だとバッテリー重量だけで2.8トンに達する。バッテリー健全性の70%を保証する期間は12年・120万kmと、ディーゼル車と同等のライフタイム保証になっている。

 クレーンやダンプなどボディの駆動用に電動メカニカルPTOを備え、油圧ポンプを60kW(連続)/100kW(ピーク)で駆動することができるほか、冷凍車向けにePTOソリューションも用意している。EUでは総重量の緩和措置があるため、積載量はディーゼル車と同等を確保している。

 駆動系は連続240kWを発揮する電動モーター2基を組み合わせた、合計480kW出力のeアクスルで、リジッド系も駆動軸は1軸となり、4×2および6×2構成で提供されるようだ。

イヴェコが2026年モデルのトラックを発表! タタとの統合を控えてBEVでも巻き返しを図る
トラクタ系のS-eウェイ(MY26)

 いっぽうトラクタ系のS-eウェイは総容量603kWhのLFPバッテリーに対して、97%を利用可能としており、航続距離は最大600kmを謳っている。キャブデザインはリジッド系とは大きく異なり、かつてのニコラ・トレFCEVを彷彿とさせる。

 このキャブには、ディーゼル車におけるエアインテークのためのグリル開口部を減らし、シグネチャーランプのドラッグを低減するなど空力を改善する効果もある。長距離輸送のスタンダードとなる4×2トラクタのみの提供で、回生ブレーキは7段階で調整可能。法定休憩中の充電が利用可能なら1日に900kmの運行も可能としている。

 eアクスルはトラクタ系とリジッド系で同じと思われる。リジッド系のGVWは28トン、トラクタ系のGCWは44トン(いずれも緩和措置込み)となる。

 第五輪位置は複数のハイトオプションを含めて可変となっており、一般的なセミトレーラであれば大半がEUの高さ制限内(4メートル以内)で連結可能だという。バッテリーの搭載により第五輪地上高が高くなるBEVトラクタは、一部の高容積型トレーラを高さ制限内で連結できないという課題があり、後発のイヴェコは当初からこの問題に配慮したようだ。

 この他、中型トラック「ユーロカーゴ」や、小型トラック・バンの「デイリー」とそのBEV版となる「eデイリー」、ステランティスと共同開発する「eジョリー」「eスーパージョリー」なども、MY26でグレー+レッド/ブルーという共通のデザイン言語を採用している。

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