EVといえば静かで滑らか、そして強烈な加速が魅力……というイメージを覆すのがホンダ「スーパーワン」だ。N-ONE e:とパワートレーンを共有しながら、足まわりやボディを徹底的に磨き、走る楽しさを追求。そんな注目の電動ホットハッチを、中谷明彦氏、大谷達也氏、橋本洋平氏の3人が採点する!
※本稿は2026年8月のものです
文:中谷明彦、大谷達也、橋本洋平/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年9月10日号
中谷明彦氏の評価
このクルマの魅力はスペックを超えた走りの質にある。アクセルレスポンスは自然で扱いやすく、ドライバビリティも良好。またボディ剛性が高く、荒れた路面でも振動の収束が早い。
アルミ鍛造ロアアームや左右不等長ドライブシャフトなど専用メカニズムの効果で、前輪駆動の高出力車にありがちなトルクステアは巧みに抑え込まれている。
ドライブモードのSPORTモードでは仮想エンジンサウンドとシフト制御が加わり、パドル操作による変速感覚まで再現される。
それは高回転型スポーツカーというより大排気量V8を積んだアメリカンマッスルカーを思わせる重厚なフィーリングで新鮮だ。単なる演出ではなく、運転する楽しさを得られるデバイスとして成立している。
モーターやバッテリーなどパワートレーンはN-ONE e:と共通だが、軽量な車体と瞬時に立ち上がる電動トルク、五感を刺激する演出によって速度域を問わず楽しめるドライビングは、かつてのシティターボIIブルドッグを現代のEV技術で再現したような面白さがある。
●ポイント採点
・ハンドリング:8点
・トルク感:9点
・デザイン性:8点
・運転の楽しさ:8点
★合計33点……BEVらしい高い静粛性と優れた遮音性で快適な居住空間を誇っている
大谷達也氏の評価
EVだからといって、トルクベクタリングを盛大に効かせた人工的な味付けだと思われては困る。クルマから伝わる情報を手がかりに、タイヤと対話しながら限界ギリギリでクルマを操る。そうした「生っぽい味わい」こそ、Super-ONEの真骨頂なのだ。
これを実現すべく、ホンダの技術者はクルマの基礎体力を徹底的に磨き上げた。ボディ剛性を高め、オーバーフェンダーを追加。トレッドの拡大にあわせてフロントサスペンションのロアアームも作り直した。おかげで、ステアリングから伝わる感触は、N-ONE e:とはまったくの別物。
私が試乗したのが袖ヶ浦フォレストレースウェイだったせいであまりパワフルには感じられなかったが、ワインディングロードであれば必要にして充分ではないのか。
一方、少し気になったのがアメリカンV8を思わせるブースト時の疑似エンジン音。「小排気量の高回転エンジン音のほうが似合うのでは?」と技術者に訊ねたところ、それだと加速感が物足りなく感じられるらしい。クルマ作りとは、難しいものだ。
●ポイント採点
・ハンドリング:9点
・トルク感:6点
・デザイン性:8点
・運転の楽しさ:10点
★合計33点……接地感は数多あるコンパクトスポーツを押しのけるほど高いレベル
橋本洋平氏の評価
テストコースや箱根で乗って「これは走れるEVだ」と確信した。EVは発進加速だけが見どころが常だが、ハンドリングもイケてる仕上がりを見せたのが凄い。ベースとなるN-ONE e:にワイドトレッドや奢った足を入れ、重量を1090kgに収めたことがとにかく効いている。
バッテリーを床に積み低重心になったことで、とにかくコーナーが面白く、それでいて使い勝手はN-ONE譲り。なかなかオールマイティである。
だから我が家に迎え入れることにした。5ナンバーサイズのコンパクトボディは、都内では最高に使いやすく、幹線道路なんかでは駐車車両が多い左側車線をスイスイ駆け抜けられるから渋滞も苦ではなくなってきたのだ。
ただ、ここまで褒めちぎってきたがデメリットも当然ある。それはやはり航続可能距離の短さ。
この時期、エアコンを使ってECONモードで走ってもせいぜい200km。今のところは近隣の急速充電に頼っているが、その頻度はかなり高い。しかも充電能力が50kWhなので、優れた充電器でも時間がかかるのが残念ポイントだ。
●ポイント採点
・ハンドリング:9点
・トルク感:7点
・デザイン性:8点
・運転の楽しさ:8点
★合計32点……カッコはホットハッチだけれど、感覚的にはロードスターのよう!?
* * *
●ホンダ Super-ONE 主要諸元
・全長×全幅×全高:3580×1575×1615mm
・ホイールベース:2520mm
・車両総重量:1090kg
・バッテリー容量:29.2kWh
・総電圧:358V
・最高出力:70kW(95ps)
・最大トルク:162Nm(16.5kgm)
・一充電走行距離:274km
・WLTCモード燃費:114Wh/km



























コメント
コメントの使い方