MANはバッテリーEV大型トラック「eTGX」の新型車をIAAトランスポーテーション2026で発表した。空力デザインを取り入れ効率を最大3%向上したほか、バッテリーの利用可能容量を10%増やし、モーターの回生効率を高めるなど、航続距離は最大720kmに達した。
小型商用車「TGE」の電動バージョンも量産が迫っており、欧州市場ではBEVトラックのコスト効率は間もなくディーゼル車を上回る見通しだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus SE
MAN、新世代のBEV大型トラックを公開
MANはIAAトランスポーテーション2026で「Driving. People. Partner.」を掲げ、総重量にして3.5トンから250トンまでのトラック・バンを展示した。
目玉となるのはBEV大型トラック「eTGX」の新型車だ。空力性能の向上と回生効率の向上、そして利用可能容量を10%拡大した新世代のバッテリーにより4×2トラクタ系の航続距離は660kmに拡大した。
空力向上はEUの新寸法規定に対応するもので、車両前部を120mm前方に突き出すエアロダイナミックなキャブデザインにより実現した。同グループ(フォルクスワーゲンの商用車部門であるトレイトン・グループ)に属するスカニアも同様のコンセプトを発表しており、グループとしてのモジュール化の進展を伺わせる。
新型eTGXでは追加バッテリー(合計で7基となる)を搭載することで最大で720kmもの航続距離を実現する。そのためには車軸の追加が必要となるようで、長距離用BEVトラクタは6×2の3軸車となる。これについてもスカニアのIAAでの発表と同様で、ボルボ/ルノーなども似た手法を採用している。
同社の標準のバッテリーパックは立方体形状だが3軸車の追加バッテリーは横長のデザインでキャブバックに搭載する。そのスペースを確保するため第五輪をマイナスに(車両後方に)オフセットした。最後軸はステア可能となっており、車軸が増えたにも関わらず高い操縦性を実現しているという。
最大航続距離660kmの4×2トラクタはバッテリー総容量552kWh、同720kmの6×2トラクタは644kWhだ。電動モーターの出力は最もパワフルなモデルで440kW(598hp)に強化され、eTGXおよびeTGS向けのモーター設定は333~600馬力級となった。
600馬力級の出力はディーゼル車と比較すれば過剰にも思えるが、制動力を電気に変換しバッテリーに戻す回生ブレーキは駆動用モーターを活用する仕組みであり、最大回生電力を強化するにはモーター出力も向上する必要がある。最大20%の回生効率の向上はこれにより実現し、副次的にブレーキ性能も高まる。
バッテリー重量の軽減にも取り組んでおり、4×2トラクタの空車重量は10.7トン。標準的なトレーラを連結した場合、積載量は最大25トンとなり、ディーゼル車と同等の積載が可能となる。
新型eTGXは効率の向上に加えて、ドライバーの直接視界も改善した。トラックの助手席側ドア下方に設置する「安全窓」は日本車では一般的な装備だが、欧州車では比較的珍しい。特に都市部の交通環境でほかの道路利用者の安全性が向上するという。
MANトラック&バスのCEO、アレクサンダー・フラスカンプ氏は次のように話している。
「今年のIAAで掲げた『Driving. People. Partner.』はMANの理念をまさに表しています。高効率で信頼性の高い、安全な車両により輸送の変革を推進します。革新性と実用性を兼ね備えたeTGXは電動化を更に容易にするでしょう。
お客様との緊密な関係を維持しながら、弊社のパートナーとともに、今後数年間で新たに7億ユーロを世界に投資し、この関係をいっそう強化します。お客様の経済的な成功と、持続可能なビジネスへの道を、包括的なソリューションでサポートします」。

