高速道路といえば、片側2車線で計4車線以上、中央分離帯もあるから反対車線とは区切られているイメージが強い。
でも、日本では意外なほどに“そうではないケース“も多いことをご存じだろうか?
実は日本の高速道路、他の先進国と比べてもかなりイレギュラーな区間が多く、それが危険でもあるのだ!!
文:清水草一/写真:中日本高速道路、shutterstock.com
ベストカー2017年10月10日号
先進国で数%しかない暫定2車線が日本は約3割も!
日本の高速道路で最も危険を感じるのは、中央分離帯のない暫定2車線区間(対面通行)での正面衝突事故だ。
日本の高速道路の総延長の約3割が、この形で占められているが、こんな国は世界で日本だけ。
先進国では対面通行の高速道路は極めて例外的な存在で、総延長の数%から1%未満なのだが、日本では約30%。まさに「日本の高速道路特有のリスク」と言える。
2005年から2014年までの10年間に、対面通行区間での対向車線へのはみ出しによる事故は2208件発生し、死者は119人、負傷者は1281人。
高速道路での事故死者数は年間200人強だが、うち平均12人をこれが占めていることになる。対面通行区間は交通量が少ないことを考えると、死亡事故の発生確率は相当高い。
なにせ正面衝突だ。衝撃の大きさは追突や単独事故の比ではない。いったん発生してしまえば、死亡や重傷に至る可能性が非常に高いわけで、なんとかしないといけないが、マトモに走っている側のドライバー側の自衛策は「ない」と言っていい。
国交省は、暫定2車線区間に、取り外しが比較的容易なガードロープを試験的に導入することを決めているが、なるべく速やかに、少しでも長い区間に導入していただきたい。
ただ、トンネル内のように路肩に余裕がない区間では、この設置も難しく、解決策は4車線化しかない。交通量を考えると、暫定2車線区間をあまねく4車線に拡幅するのはコストパフォーマンスが悪すぎる。ここが悩ましいところだ……。
いずれにせよ国交省は、対面通行区間での正面衝突事故リスクを減らすべく、簡易な中央分離帯設置に努力していただきたい。
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