2017年10月12日、日経新聞にて「トヨタ、国内販売車種を半減へ 20年代半ばめど」という記事が掲載されました。
トヨタが現行車種の大幅な見直しを実施し、30車種程度に減らす検討に入ったこと、そして今後国内市場の成長が見込めないなかで大胆な販売戦略の見直しに踏み切る、という内容でした。
確かに少子高齢化が進むなか、日本国内市場の販売台数は今後延びていく見込みが薄いです。しかしあのトヨタまで車種を減らしてしまうとは……。この「検討」は事実なのでしょうか? そしてリストラ候補の車種とは?
月に200店舗のディーラーを回り、足で稼いだ情報を届けてくれる流通ジャーナリストの遠藤徹氏に話を伺いました。
文:ベストカーWeb編集部、遠藤徹氏 写真:TOYOTA
■ラインアップの75%を併売車に、セダンを中心に整理
「ええ、聞いています。2025年をメドに、ラインアップの75%を全店扱いの併売車種にすること、セダンを中心に車種を大幅に整理すること。これは確かに今年に入って、トヨタ本社から販売店幹部に通達が出ている内容です」
と語ってくれたのは、流通ジャーナリストの遠藤徹氏。
これまでトヨタは「トヨタ店」、「トヨペット店」、「カローラ店」、「ネッツ店」と4系統の販売店を持っており、それぞれ微妙にターゲット層が違っていた(だからこそ同じ地域に多くのトヨタ系販売店が展開できた)。
それぞれのターゲット層にあった専売車種が用意されており(たとえばトヨタ店やトヨペット店なら保守的なラグジュアリー層、カローラ店はファミリー層、ネッツ店なら若者層など)、近年はプリウスやC-HRなど全店舗扱いの車種も増えてきていた、という現状がある。
そうしたなかで、「75%を併売車種に」、「セダンを中心に大幅な車種整理」というのは大きな販売改革となる。なぜ今になってそのようなことをする必要があるのか?
■背景にあるのは社会構造の変化
「ひとつは社会構造の変化です。かつては年齢や収入、家族構成によって買うクルマの種類が分かれていました。極端なことを言えば、お金持ちの高齢者層は高級セダンに乗り、あまり裕福でないファミリー層は大衆車に乗り、もっと貧しい若者はコンパクトカーや、頑張ってスポーティなクルマに乗っていた。
でもそういう区分けは、今はもうないですよね。生活に余裕のない高齢者もいるし、わりと裕福なヤングファミリーもいる。
そういう【社会階層の違い(による購入車の違い)】は、今では条件が入り組んで複雑になりすぎてしまいました。それよりも【地域格差】のほうがはるかに大きくなってきた。だからこそトヨタは、地域ごとの販売戦略を見直すことにしたんです」
と遠藤氏は続ける。
電車通勤が主要な都市部と、自家用車通勤がメインの郊外とでは、ライフスタイルが大きく違い、クルマに対する考え方も大きく違う。
なるほど確かにもっともだ。日産はすでに、こうした「地域ごとの販売戦略分担」に注力しているという。
ではトヨタはどうするか。
これまでの販売4系統は残しつつ(各販売店の社長はその地域の有力者が多く、地場産業でありこの「系列販売」は廃止や寛和が難しいそう)、都市部には都市に合ったクルマを、郊外には郊外に合ったクルマを販売するような戦略に組み替えていくとのこと。
具体的に言えば、プリウスやアクアといった都市型のモデルは都市部の販売店でたくさん売るよう販売戦略を練っていき(幅広い販売店で同時フェアなどを開催等)、そのいっぽうでクラウンやハイエース、軽自動車(OEM車)など郊外でよく売れる車種は郊外での販売戦略を充実させる(全店扱いとする等)、という戦略のようだ。
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