クルマ好きの皆さんはよくご存じのとおり、自動車は「新型車」として発売されたあとも、地味にコツコツと(2年に1度とか1年に1回とか)マイナーチェンジや小変更を繰り返して進化しています。
こうした地味な進化は、新鮮味はないかもしれませんが、確実に使い勝手は上がっているし、安全装備や走行性能も充実します。
本企画ではそんな、(華やかではないけれど)熟成しきった感のあるクルマを5台厳選してご紹介。多少古くても、安心して選べるクルマたちです!
文:渡辺陽一郎
■ホンダフィット 変化度数82点
変更前の緊急自動ブレーキは時速30㎞以下で作動する簡易型で、歩行者も検知できなかった。しかし今のフィットにはホンダセンシングが備わる。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用して、歩行者検知を含めて高速域まで作動する。
また車間距離を自動制御するクルーズコントロール、操舵の支援機能も備わり、高速道路の長距離移動における疲労も軽減する。疲れにくければ、安全がさらに高まる好循環が生まれるわけだ。
さらに燃費も向上して乗り心地や静粛性も改善され、販売の伸び悩みを打開すべく渾身のマイチェンを行った。
■ホンダステップワゴン 変化度数80点
オデッセイと同じ2Lエンジンをベースにしたハイブリッドをスパーダに新搭載。エンジンは主に発電機の作動に使われ、ホイールの駆動は高速の巡航時を除くとモーターのみが行う。
アクセルペダルを踏むと即座に駆動力が高まり、3L並みの余裕。加速が滑らかで静粛性も良好だ。JC08モード燃費は25km/Lだから、ヴォクシー3姉妹車のハイブリッドに比べて、燃費と動力性能の両方で勝る。
しかも装備差を補正したハイブリッドの価格上昇は、1.5Lターボと比べて実質47万円。オデッセイは2.4Lとの比較で58万円だから割安だ。
■マツダアクセラ 変化度数75点
今のマツダ車は、エンジンやプラットフォームの共通化を進めた。そのために1車種が改良を行うと、時間を置かずほかの車種にも展開される。
特にアクセラは’13年に発売され、2014年には安全装備を向上させて車間距離を自動制御できるクルーズコントロールを国産1.5L車で初搭載した。’15年には後方の並走車両を知らせる安全装備を加え、2016年には1.5Lディーゼルを追加して、安定性と乗り心地を高めるGベクタリングコントロールも初採用している。2017年にはiアクティブセンスを全車に装着して、360度ビューモニターも採用。いつでも「最新のアクセラ」が手に入る。
■トヨタハリアー 変化度数78点
ハリアーでは2Lターボの搭載が注目される。最高出力は2L自然吸気エンジンの1.5倍、最大トルクは1.8倍で、余裕のある加速感を味わえる。そのいっぽうで燃費は19%しか悪化せず効率が高い。2Lターボにはパフォーマンスダンパーが装着され、乗り心地は少し硬いがそれ以上に安定性を向上させた。
2Lターボの価格は、装備の違いを補正して4WD同士で比べると、自然吸気よりも約25万円高くハイブリッドに比べると約42万円安い。販売のテコ入れを視野に入れて搭載されたエンジンだから、買い得感にも配慮した。
■日産GT-R 変化度数95点
マイチェンによる変化度で最も注目されるのがGT-Rだ。
2007年の発売時点では乗り心地が粗く、自動変速機は作動する度に大きなノイズを発したが、2008年から2014年にかけて足回りなどを毎年変更。新しいメカニズムに交換できるバージョンアップキットも発売した。
2016年には乗り心地と安定性をさらに向上させ、10年前に比べると洗練度が大幅に深まった。ただし発売時点の価格は標準仕様が777万円(消費税は5%)だったが、今のピュアエディションは996万840円だから219万円値上げされた。
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