日本でも自動運転が自動車専門誌のみならずたくさんの媒体でフィーチャーされ、実証実験などが行われている。その技術の高さや、いつ頃実現するかなど、さまざまな予測がされていることで関心を持っているクルマ好きも多いことだろう。
そんななか、アメリカで開催されるCES(コンシューマー・エレクトロニック・ショー)で、自動運転に関する気になるニュースが舞い込んできた。
ラスベガスの公道をなんと自動運転のタクシーが走るという。いったいどういうことなのか、迫ってみた。
文:ベストカーWeb編集部
写真:Aptiv、日産
■自動運転はライドシェアと仲よし!?
CES(コンシューマー・エレクトロニック・ショー)はラスベガスで1月9日(火)から開催される、世界的な家電の見本市だ。
そのCESで会場からラスベガスの20カ所へ向けて自動運転のタクシーが供されるという。この自動運転車を提供するのは「アプティブ」というイギリスのグローバルIT企業。従業員数14万7000人という時点でその規模の大きさがわかるだろう。
そしてそこに乗れるのは「リフト」という2012年創業のアメリカのライドシェア企業のサービスで配車予約をした顧客だ。
日本での知名度はそこまで高くないのだが、すでに日本に上陸しているウーバー(Uber)と同等の規模を誇る。つい先日もカナダのトロントでサービスを開始するなどその勢いは止まらない。
今回CESでアプティブの自動運転タクシーに乗れるのはこのリフトを使う顧客。CES会場のコンベンションセンター、「ゴールドロット」から二十数カ所の目的地へ送迎してくれるという。
当日は完全自動運転ではあるが、運転手と安全性を証明するガイドが同乗するという。2019年までに自動運転の実用化を目指す企業だけあって、なかなかの自信があるように見える。実際にどんな概要なのか?
■日産の自動運転実験車と同等の性能か!?
アプティブの自動運転技術はカメラ、レーダー、ライダー(LiDAR)の3種のセンサーをフルに使うということをアピールしている。
いっぽう、現在評価の高い日産の自動運転技術実験車両はカメラ(12個)、レーダー(9個)、レーザースキャナー(6個)、ソナー(12個)を組み合わせている。
つまり、アプティブの持つ技術力自体は最先端に位置するものの、他社と比較してずば抜けているというわけでもなさそうだ。
しかしアプティブのプレスリリースは「現段階で自動運転のすべての状況に適応する明確なルールはない。
なぜならばすべてのシチュエーションでのテストが完了していないからだ」と述べている。何気なく運転している公道では二度と同じ条件の道路はないとも言える。
天候、気温、気圧、交通量、体調……、など多くの要素が複雑に絡み合っているのだ。
アプティブの自動運転の特徴としてはAI(人工知能)の活用にある。プログラミングだけでは膨大な道路状況に対応することはできず、AIでクルマ自身が自ら道路状況を考えながら走るのがアプティブのアプローチである。
例えばビニール袋が風で道路上を舞っているシーンを想像してほしい。人間ならばそこに危険性がないと判断できるが、もしかするとレーダーやカメラなどは危険と感知して急ブレーキをかける可能性がある。
しかしアプティブのようにAIを活用した自動運転ではこのようなシーンでも通常の運転と同様に、そのまま通過するという選択をできる。
こうなってくると果たして何が正解なのかわからない自動運転ではあるが、さまざまなアプローチがあるのもまた自動運転技術の特徴だ。
このアプティブの自動運転タクシーはCESでしか体験できないが、いつか日本でも体験できる日を待ちたい。
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