クルマ好きの常套句といえば「あの頃はよかった」。青春真っ盛りの「あの頃」のクルマたちの思い出は忘れるはずがないものです。
そんな「あの頃はよかった」世代はきっと、2000年代初頭のクルマたちを見たら心のどこかであの頃の熱き想いがフツフツとしてしまうはず。
そこでネオクラシックともいわれるあの頃のクルマたちを、いまから中古車で買うにはだいたいどんなもんで買えるのかチェックしてきました。
今回は現代にも元気で走るネオクラシックたちの試乗記もセット。現代の目で見るとどれくらいアツいクルマだったのか、それとも思い出補正だったのか!? 徹底チェックです。
※中古車価格は荻原文博氏が調査したものです。
文:斎藤聡/写真:池之平昌信
■あえてのNAでも楽しさいっぱい!! スープラとインテRに乗る
★スープラ(A80:210~250万円)/インテグラタイプR(DC5:90~200万円/編集部調べ)
1989年に280馬力カーが解禁になって一気にハイパワー戦争が爆発。Z32フェアレディZを皮切りにR32スカイラインGT-R、GTOなど次々に登場。バブル景気の後押しもあり各メーカーが世界に通用するクルマを作ろうと情熱を燃やしていた頃だ。
今回そんな時代に生まれた4台に試乗してみた。その試乗車を用意してくれたのは「おもしろレンタカー野田本店」(千葉県野田市)だ。
スープラは個人的に思い出の多いクルマ。ニュル24時間に出場させてもらった時、現地で練習用に貸してもらったのがスープラRZだった。
600馬力オーバーのチューニングカーにも試乗した。今回乗ったSZは3LのNAで225馬力/29.0kgm。当時はターボの陰に隠れ目立たなかったが、乗るとトルクに厚みがあって意外に速い。
あれから20年近く経って改めて乗ったらガッカリするのだろうな……と思ったら、ビックリするくらい面白かった。
トルクバンドが厚く力のあるエンジンは性能的には今でも充分通用する。厳しく見ればボディがワナワナしており、ヤレではないボディの剛性不足も感じないではないけれど、それを差し引いてもインパネのデザイン、室内のムード、クセのない操縦性は合格。
なにより楽しいクルマを作るぞ、という作り手の熱が伝わってくる。
今のクルマと比べても……と考えて気づいたが、今や比較すべきクルマさえない状況が悲しい。2代目インテグラタイプRはやんちゃな初代の人気を受けて作られた進化形モデルで、完成度の高いFFスポーツカーとして登場。
当時は完成度が高すぎて刺激が足りないと評した記憶があるが、今改めて乗ってみるとシビレルくらい楽しくて刺激的だ。
実際クルマの作りはよく、エンジンは研ぎ澄まされた鋭い吹き上がりを示す2LのスポーツVTEC。
昔「ホンダはエンジンが作りたくてしかたなく、それを載せるクルマも作ってるんだ」と言った人がいたが、そんなエンジンファーストのホンダの匂いが色濃く残っている。
レブリミットは8400回転。今でも当時と変わらない鋭さで吹き上がり、ハイチューンNAらしい刺激的な加速を楽しませてくれた。このクルマに乗ると今のFF車って性能面ではなにも進歩していないんじゃないの? とさえ思えてくる。
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