車には、同じ車種でも複数のグレードが用意されている場合がほとんど。なかでも常時用意されているグレード以外に、期間を区切って販売されるのが「特別仕様車」だ。
お得なイメージが強い特別仕様車だが、実は少し割安なだけでは「得」ではないケースもあるという。
また、特別仕様車だった先代スイフトRSのように、好評から“特別仕様”のはずが、モデルチェンジまで売り続けられたというケースも。さまざまな形があり、実に奥が深いのが特別仕様車の世界なのだ!
文:渡辺陽一郎
ベストカー2018年4月10日号
見極め点は「追加装備と価格上昇」
多くの特別仕様車は、安価なグレードに上級グレードの装備、あるいはオプション設定される装備を標準装着して、価格上昇を少額に抑えたタイプが多い。
従って特別仕様を見極めるには、追加された特別装備と、ベースのグレードと比べた時の価格上昇を確認したい。
例えば、トヨタC-HRのS・LEDエディションは、Sにオプション価格15万1200円のバイビームLEDヘッドランプ、LEDクリアランスランプなどを加え、前席側のアウトサイドドアハンドルはメッキ仕上げにした。
これらのプラスされた装備の価格換算額は、総額16万円相当になるが、特別仕様車の価格アップは2万4000円に抑えている。LEDヘッドランプなどをオプションで装着するよりも13万6000円安いのだ。
このように特別仕様車の割安度は「特別仕様車に追加された装備の価格換算額-特別仕様車とベースグレードの価格差=割安価格」という具合に算出される。割安価格が多いほど買い得だ。
装備の価格換算は難しいが、オプションの価格、あるいは特別装備を標準装着した上級グレードと非装着グレードの価格差などから割り出せる。上級装備が割安に備わる特別仕様車を選びたい。
いくら割安なら得な特別仕様車なのか?
ただし、特別仕様車に装着される特別装備は、オプションと違って選択の自由がない。そのため、特別装備にはせめて値引きがないと買い得とはいえない。目安はオプション価格の85%くらいだ。
例えば、特別仕様車にオプション価格が10万円の特別装備が装着されたら、ベース車と比べた時の価格上昇は、8万5000円以下でないと買い得といえない。つまり、15%程度は値引きされて当然だが、それが10%前後の買い得ではない特別仕様車も多い。
また、特別仕様車の購入を検討する時は、特別装備の内容も入念に確認する。いくら割安に装着されても、用途や好みに合わない装備では選ぶメリットが乏しいからだ。
判断に迷うのは、エアコンのオート機能+上級シート表皮+LEDヘッドランプ+アルミホイールという具合に複数の装備が加わり、不要な装備も混ざっている場合だろう。
このような時は、欲しい装備をオプション装着した買い方と、特別仕様車で支払い総額を比べるべきだ。
上級グレードのみに装着されるオプション対象外の装備を加えた特別仕様車もある。特別装備に魅力を感じたなら、特別仕様車を選ぶことになるが、欲しい装備と価格上昇のバランスは確認したい。
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