特別仕様車は販売のカンフル剤
通常、特別仕様車は3カ月から1年で完売するが、車種によっては継続設定され、従来のグレードの一種のようになる。
例えば、セレナの「X・Vセレクション」と「ハイウェイスターセレクション」がそれだ。特別仕様車とグレードの区分が曖昧になっている。
セレナの場合、Vセレクションを割安にして、なおかつプロパイロットなど人気の上級装備をオプションで用意した。Vセレクションは割安なので、この特別仕様車が廃止されると、通常グレードのほうは割高に感じてしまう。
言い換えれば、多くのユーザーがVセレクションを選ぶように誘導しているわけだ。そうなれば生産を集中できて、メーカーにとって効率がいい。
特別仕様車が設定される背景には理由がある。その筆頭に挙げられるのは、売れゆきに不安が生じた時の対処だ。
新型車が好調に売れている時に特別仕様車を設定することはない。発売から時間が経過したり、売れゆきが伸びない時、あるいは強力なライバル車のフルモデルチェンジが迫っている時などに特別仕様車は用意される。
従って特別仕様車は、人気動向のバロメーターにもなり得る。特別仕様車が発売されたら、販売面で何か不安な要素があるのだ。
“不親切さ”解消狙い設定する場合も
装備や価格に問題があり、是正する目的で特別仕様車を設定することもある。C-HRは、前述のようにLEDヘッドランプが上級グレードだけにオプション設定され、この価格が割高だ。
しかも、ベーシックなSとS-Tではハロゲンランプしか選べず、この不親切さを解決するために発売から約11カ月後にLEDエディションを用意した。
C-HRは趣味性の強いSUVだから、ハロゲンランプで満足するユーザーは少ない。そうなると従来は、価格が最も安い買い方でも、G-TのLEDヘッドランプ装着車になって合計額は約293万円だ。
しかし、特別仕様車のS-T・LEDエディションなら約254万円だから、価格が約40万円下がる。C-HRのLEDエディションは価格も割安だが、それ以上にLEDヘッドランプの設定上の不満を解消した効果が大きい。
いっぽうで、特別仕様車にはデミオのテーラードブラウンのような、内外装の色彩やシート生地を変更したタイプもある。
実用装備はほとんど加わらないから、純粋な趣味性で選ぶ特別仕様車だ。価格は少額でも値上がりするから、内外装が好みに合わないと価値は乏しいといえる。
特別仕様車を選ぶ時は、まず特別装備が自分の使い方や好みに適しているかを確認したい。この判断で合格したら、次はベースのグレードを明らかにする。
「何が装着されて、価格はベースのグレードに比べてどの程度上乗せされたのか」を見る。このチェックにも合格したら、選ぶ価値の高い特別仕様車だ。
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