e-POWERが追加されてより多くの消費者に選ばれそうなのが日産セレナ。スポーティなNISMOから新感覚なe-POWERまで、ひょっとしたらどれを選ぶか迷ってしまう人もいるかもしれない。そこでコスパには人一倍うるさい渡辺陽一郎氏にどのグレードが損をしないベストバイなのか、聞いてみました。各グレードの価格以下のとおり。Sハイブリッド(243万5400円~)、e-POWER(296万8920円~)、オーテックスポーツスペック(356万7240円)。
文:渡辺陽一郎/写真:平野学
ベストカー2018年4月26日号
■ハイブリッドとe-POWERの差額は7年で取り戻せる
セレナにはベーシックな2Lガソリン、Sハイブリッド、新しいe-POWERがある。2LガソリンとSハイブリッドの装備内容を見比べて換算すると、Sハイブリッド代は4万3200円と算出される。
ただしこの損得勘定は意味がない。ベーシックな2L車には運転支援機能のプロパイロットなどが用意されず装備が乏しいからだ。そうなるとSハイブリッドとe-POWERの選択になる。
e-POWERの価格は、Sハイブリッドに比べて46万9800円高い。この金額には、2列目キャプテンシート、PTC素子ヒーター、安全装備の進化(ハイビームアシストの採用)なども含まれる。
エコカー減税額も異なり、売れ筋のe-POWERハイウェイスターVは免税だが、SハイブリッドのハイウェイスターVセレクションは減税だから、購入時に約8万円の税額が必要。この金額を価格差から差し引いた約39万円が、e-POWERの最終的な単体価格だ。
レギュラーガソリン価格が1L当たり140円、実用燃費がJC08モードの85%で計算すると、1km当たりの走行コストはe-POWERが6.3円、Sハイブリッドは9.9円だ。
10.8万kmを走れば差額を取り戻せる。ガソリン価格を1L当たり130円に下げると、取り戻せる距離は11.5万kmに伸びるが、それでも本格ハイブリッドと簡易ハイブリッドの損得勘定では短い部類に入る。1年間に1.5万kmを走れば7〜8年で取り戻せる。
しかもe-POWERは、駆動用電池が充電された状態であれば動力性能が優れ、加速も滑らかだ。e-POWERは走りも上質だから、買い得なパワートレーンになる。
■オーテック、ニスモの損得勘定は?
セレナはスペシャルティモデルとしてオーテックとニスモも設定した。オーテックのベーシック仕様はヘッドランプもハロゲンだ。ハイウェイスターに比べて30万6720円高い。
しかし左側スライドドアの電動機能などが備わり、25万円で専用エアロパーツや16インチアルミホイール、内装の専用仕上げなどが得られる。上級のオーテックセーフティパッケージは約33万円の価格上昇。
サイド&カーテンエアバッグなどを含むセーフティパックA(11万3400円)や寒冷地仕様が加わる。追加される装備と価格上昇のバランスは妥当だ。さらに24万8400円を加えると、オーテックスポーツスペックが手に入る。
ボディ底面にフロント/センタークロスバーなどを装着して補強し、剛性を高めた。タイヤも17インチに拡大される。安全装備はセーフティパックB(12万9600円)に上級化されるから、ボディ補強などは11万8800円に換算される。これは割安だ。
e-POWERオーテックもあるが、ボディを補強するスポーツスペックは用意されず、オーテックセーフティパッケージがベースだ。e-POWER化に伴う価格上昇は50万2200円。
前席クイックコンフォートヒーター付きシートなどが加わり、前述のSハイブリッドとの差額(46万9800円)に比べて若干高くなる。セレナのニスモは、オーテックのスポーツスペックと同様、11万8800円に換算されるボディ補強を施した。
車両価格は341万9280円だ。オーテックスポーツスペックに比べて14万7960円安いが、インテリジェントアラウンドビューモニター、寒冷地仕様、3列目シートのスライド機能などはオプションになる。これらを装着してオーテックスポーツスペックと装備を同等にすると、26万3520円の上乗せになってニスモの価格が11万5560円高くなる。
従ってドレスアップとチューニングを施したコンプリートモデルでは、オーテックスポーツスペックが買い得だ。セレナ全体ではe-POWER XV、エアロ外観が好みならe-POWER ハイウェイスターVになる。
【結論!!!】
セレナはe-POWER XV、e-POWER ハイウェイスター V、オーテックスポーツスペックから選べば損はしない!! あとは試乗をして使い勝手などを実感してみよう。
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