ベストカー本誌スクープ班のもとに、それぞれ日産、トヨタの看板車種となれるような潜在能力を持つ2台の新車情報が届けられた。
一台は次期スカイライン、もう一台はMIRAI。ともに後輪駆動、FRだ。どちらも2020年頃に新型へと切り替わる予定で開発が進められているという。
現行型は「ヒット車」とは言い難いスカイラインとMIRAI。しかし次期型はどちらも大幅にイメージ転換を図って勝負に出るようだ。
文:ベストカー編集部
ベストカー2018年4/26号より
■新型スカイラインは「スポーツカー」に回帰
日本を代表するFRスポーツセダンといえばスカイライン。
のはずだったが、現在は苦戦気味だ。日本仕様もインフィニティのバッジを付け、高級サルーンのイメージを押し出したせいか、価格が高いうえにコンセプトもあいまいになってしまった観がある。
その反省を生かし、2020年に登場する予定で開発が進んでいる次期モデルはスポーツイメージを大切にする方向になるもよう。
アメリカでのインフィニティQ50には直4、2Lターボ、V6、3LツインターボとV6、3.5Lハイブリッドの3種類のエンジンがあり、3Lツインターボは300psと400psの2つの仕様がある。
このうち日本のスカイラインにはないのが3Lツインターボで、これは久しぶりの日産オリジナルのターボエンジン。いわき工場で生産される生粋の国産エンジンだけに、その搭載が期待される。
プラットフォームに関してはまだ情報が足りない状況だが、提携関係にあるベンツのモジュラープラットフォームを使用する可能性もある。
インフィニティはQX30、QX50ともにベンツのプラットフォームを使っており、Q50もその方式を採るのは自然な流れ。スカイラインではベンツC~Eクラスのシャシーを共用することになるだろう。
気になるのはデザイン、サイズがどうなるかだが、今、インフィニティのデザイン責任者は昨年BMWから移籍してきたカリム・ハビブ氏が務めており、彼の持ち味が全面的に発揮されるものになるはずだ。
BMWではおもにコンセプトモデルを担当していたが、その前に在籍していたダイムラーでは現行Cクラスのデザインを手がけたことで知られる。
ボディサイズは現行モデルから大きな違いはないはず。つまり全長4800mm、全幅1820~1850mmあたりとなるだろうが、できればサイズを少し引き締め、ベンツCクラスやBMW3シリーズくらいにして軽快なイメージを出してほしいもの。
日本のファンが抱く理想のスカイライン像に近づけてくれることを期待したいものである。
■スタイリッシュに変身するトヨタ次期MIRAI
2014年11月に登場し、今年で4年目を迎えた世界初の量産燃料電池車(FCV)MIRAI。生産能力と水素ステーションにかぎりがあるため普及には時間がかかっているが、今なお一定水準の販売は続いており、存在感を発揮している。
競合車となるホンダのクラリティフューエルセルは、今なおフリート販売のみとなっており、市販車としてはミライが世界唯一の存在である。
そのミライが2020年にフルモデルチェンジして2代目に進化することが判明した。
今度のミライは後輪駆動に切り替わる。パワーユニットは変わっても、やはりFR(というのか?)にはプレミアム感が漂う。MIRAIは現行型より上級なモデルに生まれ変わるのだ。
ベースになるのは今年6月25日にデビューする次期クラウン。このTNGAプラットフォームにFCVのシステムを搭載し、新しいミライは作られる。センタートンネルに水素タンクを1本縦に置き、リアシート下にもう1本横に置くレイアウト。パワーコントロールユニットはボンネット下の、クラウンでいうエンジンルームに配置されるのは現行モデルと同じだ。
細かいスペックは未確認だが、水素燃料を満充填した時の航続距離が伸びるのは確実。現行モデルはJC08モードで650kmとなっているが、実質的には400kmくらい。システムの効率アップと燃料タンクの容量アップで実走行500km以上を確保することになる。
また、注目すべきは生産コストの削減で「現行モデルの半分まで落とす」(事情通)という説もあるほど。当然、それは車両価格にもいい影響を及ぼすだろう。
また、システムの話だけでなく、4ドアクーペのようなスポーティなデザインに一新されるのも注目したいポイント。パーソナル感覚が大幅にアップし、若い層の人気も得られそう。サイドに3つの窓がつく6ライトになるのは次期クラウンと同じ構成だ。
ボディサイズは全長4900×全幅1820×全高1500mm、ホイールベース2800mm前後で、現行モデルよりも低くなる。
登場は2020年夏頃で、その年の7月24日に開幕する東京オリンピック直前に発売開始となりそうだ。
また、最新情報では同時にレクサスLSのFCV仕様も登場するスケジュールとなっており、こちらは東京オリンピックのVIP用車両として使われることが決まっているという。
トヨタは2030年にEV、FCVを合わせ、グローバルで100万台以上販売するという目標を掲げており、そこに向けて、節目の年となる2020年に新たな一歩を踏み出すことになる。トヨタの本気に注目すべしだ。
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