今、世の中的に社歌がじわりとブームの兆しという。きっかけは2016年公開の映画『海賊とよばれた男』で社歌を熱唱するシーンが胸を熱くさせる……と評判になったこと。
社歌といえば新年の仕事始めの日に歌ったりするのがありがちだけど、「歌いたくね〜」「歌詞も覚えてないよ」ってな方も多いのでは? が、最近では人の気持ちを高揚させる社歌の登場などで、「みんなで頑張ろうぜ」と社員たちが感じる流れになってきているという。一部だったとしてもこの現象、ちょっと気になりますよ。
それとともに自動車業界の社歌、どんな曲なのか無性に知りたくなってきた!
文・写真:ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年3月26日号
■布袋寅泰さん作のロックでポップな社歌
実は社歌には過去にも何度かブームがあったという。経済状況が絶好調の時か、逆に不況の時にブーム到来という傾向があり、景気がいい時は「さらに頑張ろう」、不況の時は「みんなで一致団結して頑張ろう」となるのがその理由。つまりどんな時でも“頑張ろう”という気持ちを起こさせるのが社歌なわけね。で、今は不況下なので“頑張ろう”と社歌ブームの兆し。
まず個性的でユニークな社歌としてはコンビニの「ローソン」。ここの社歌はあの布袋寅泰さんの作詞作曲だそうで、彼特有のロックでポップな仕上がりという。布袋ロックで気分上げ上げで、「Lチキ」も揚げ揚げだ。
ローソン公式サイト:http://www.lawson.co.jp/company/groupsong/
(残念ながらWeb上には音源なし。ローソン本社では始業9時前に流れるそうです)
曲調的に凄いのは日本ブレイク工業という神奈川県の解体業者。ここはハードロックテイストの社歌で、なぜかオリコンデイリーチャートで7位になったとか。解体業→鉄→ハードという感じでつながりもいい感じ。
驚くのは千葉県の農業生産法人「ベジフルファーム」。ここの社歌「小松菜伐採」はハードメタルで力強いドラム音に続き、シャウトが続くという(どんな社歌やねん)。で、「社員は歌えなくていいんです」とは代表。小松菜のための“聴育”が真の目的とのこと(笑)。社歌を聴いて育ったゆえ「メタル小松菜」と名づけたら、これがブレイク。注文が殺到しているというから世の中わからない。「でも、社歌を聴かせても味は変わらないね(笑)」とは代表さん。もう“こまっちゃうな〜”。
YOUTUBE「ベジフルファーム」公式チャンネル
■聴きたい! うたのおねえさんが歌う社歌
制作陣にビッグネームを起用したのがキッコーマン。あの秋元康氏が作詞を担当し、歌うのはNHK「おかあさんといっしょ」のうたのおねえさんという豪華さ。社歌そのものより「で、どのおねえさん?」と担当は気になるんですよね。
また、JR九州の社歌「浪漫鉄道」はハイ・ファイ・セットが、JR北海道の社歌「北の大地」はダークダックスがそれぞれ歌い、CDも発売中とのこと。いずれもちょっと古い社歌だけど、ビッグネームにはちがいない。
■必ずしも“元気が出る曲”ということではない
そんな状況だけに注目されているのが社歌制作の会社。「社歌制作ドットコム」の西尾竜一社長へ聞いてみた。
■企業からの依頼で社歌制作を請け負っているそうですが、どれくらいの数ですか?
「去年1年間で10件ほどの依頼です。依頼主は大手企業やベンチャー企業。ベンチャー企業のほうが多いですね」
■どういう流れで社歌を作るのですか?
「その依頼主の要望に合わせて作るケースがほとんどです。最近の傾向? みんなで歌えるような曲という要望が多いです。必ずしも“元気が出る曲”ということでもないですけどね」
■社歌というと、校歌のようなイメージがありますけど変わった曲調はあります?
ポップス系の依頼は増えており、全体の3〜4割。でもポップス系は時代の変化で数年経つと古く感じることも。半面、昔からあるようなスタンダードなマーチ的曲はそんなことに左右されない、“鉄板的”なよさがありますよね。
■最後に、1曲どれくらいの費用がかかりますか?
「1曲100万円ほどと思っていただければ……」
* * *
いつの時代もマーチ的な曲調が受け入れられているわけだ。ちなみに、前出のキッコーマンの社歌を制作したのはこの会社とのこと。さて、次コーナーでは自動車業界の社歌について探ってみた。歌詞をメインに紹介していきましょう。
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