東日本大震災から7年が経過したが、いまだに避難を強いられている被災者もいる。原発事故による放射線の影響で避難区域に指定されていた福島県浪江町。
昨年3月末で一部の地域を除き避難指示は解除された。そんな浪江町に震災後初めて企業が進出した。その名も「フォーアールエナジー株式会社」。
日産リーフの再生バッテリーを生産するという。EVの新たな未来を作るとともに、被災地の雇用などを新たに生み出すきっかけとなるか、注目だ。
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年5月10日号
■EVの宿命、バッテリー寿命を救えるか!?
日産自動車が本格的にEV用リチウムイオンバッテリーの再販に乗り出す。日産自動車と住友商事は合弁会社フォーアールエナジー社を2010年に設立。
使用ずみバッテリーの再利用と再製品化のノウハウを蓄積してきたが、去る3月26日福島県浪江町に国内初となる再製品化専用工場を開所した。
具体的には24kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する初期型リーフから電池を回収し、性能を測定、新品の90%程度の性能に戻して5月のGW明けから日産ディーラーで販売。
販売価格は30万円+税と交換工賃4万円ほどを見込む。新品は65万円なので半値以下で提供されることになる。
これによって下取り値段が低いリーフの市場価値を高める狙いがある。2010年に発売したリーフのXグレードは新車価格358.5万円。日産のホームページによれば、現在の下取りは10.5万〜20.5万円。
同じ2010年式のエルグランドハイウェイスター3.5 4WDは新車価格358万円に対して現在の下取り価格は58万〜79.5万円だからリーフはかなり低いことがわかる。
バッテリーが劣化した中古のリーフは、航続距離も落ちて売り物にならないというのが、現状だった。
再販によって中古車価格及び下取り価格が上がればリーフ人気もアップするはず。
■バッテリーの解析スピードは約100分の1に
フォーアールエナジー社の浪江工場は従来日産が1台の解析に16日かかっていたのに対し、1台4時間に大幅短縮。電池パックに納められた48個のモジュールのうち程度のいいものを選んで再製品化していく。
なお、今後リーフのバッテリーとして使えないものは、電動フォークリフトや工場電源のバックアップ、移動電源などに使用できるようにする計画だ。
現在は24kWhのものだけだが、将来的には30kWh(先代リーフ後期型)や40kWh(現行リーフ)、さらに三菱i-MiEVなど他社製のリチウムイオンバッテリーも対象にしていきたいという。
またこの工場は年間2250台ぶんの生産能力を持ち、2020年には年間1万台ぶんの生産を目指すという。浪江町は昨年3月31日に一部地域を除いて避難指示が解除になっている。
放射線量も問題ないレベル。浪江工場は地元の復興と雇用促進に貢献することも期待されている。
日産は国内市場軽視などと批判されることも多いが、このような企業活動を広く見せることも今後の国内市場での復権にも好影響与えるのではないだろうか。
コメント
コメントの使い方