現行型(3代目)ヴィッツのデビューは2010年12月。売れ筋のコンパクトカークラスであり、欧州で広く展開する世界戦略車であるが、すでに登場から7年半が経過している。
このコンパクトクラスはライバルも長期モデル化しているとはいえ、さすがにそろそろ次期型の開発も進んできたはず……といったところで、ベストカーのスクープ情報班のもとに、新型の開発情報が飛び込んできた。
以下、その情報を仔細にお届けしたい。
文:ベストカー編集部
ベストカー 2018年6月26日号より
■世界的に広まりつつあるホットハッチの復権
かつて若者たちのスポーツモデルといえば、2BOXをベースにした「ホットハッチ」だった。1980年代、3代目スターレットはターボを搭載し、同じ頃にシティターボやシャレードデトマソなども登場。ホットハッチは、コンパクトなハッチバック車がベースなため手頃な価格で実用性も高く、それでいてスポーツカーに負けない実力も併せ持つとあって、当時高い人気を集めた。
しかし1990年に近づくと、当時の若者たちの関心はシルビアやロードスターといったスポーツクーペへと移行。さらに、スープラやフェアレディZ、GT-R、RX-7などの高価な本格ハイパフォーマンススポーツが憧れの的となっていった。
ところが、また最近はコンパクトハッチバックをベースにしたスポーツモデルへの注目が高まりつつある。
国産車は、スイフトスポーツやノートNISMOなどがあるものの、その数はまだ少ない。しかし海外に目を向けると、VWポロGTIやフィアット500ベースのアバルトはもはやこのカテゴリーでは定番だし、昨年にはルノートゥインゴの高性能版「GT」が登場。さらに、ルーテシアR.S.やプジョー208GTiなどもあり、欧州のコンパクトハッチにはとても魅力的なスポーツグレードが設定され、車種も充実している。
欧州のコンパクトハッチはスポーツモデルをトップグレードにしたグレード構成で、そのモデル全体の魅力を引き上げているのだ。
そしてこれを今、トヨタはヴィッツの次期モデルでやろうとしている。
■新型ヴィッツ改めヤリス、デザイン判明!!
今回ベストカー本誌が掴んだ情報によると、次期型ヴィッツはネーミングを一新。世界統一の「ヤリス」に改名する。
また、今回はさらに次期型の新情報を入手した。
まず、デザインが完全に判明した。
フロントマスクは3月に北米で公開された新型カローラハッチバックと共通するような迫力ある大型グリルを採用するのが特徴。リアフェンダーから後ろ側に回り込むキャラクターラインも印象的だ。そのボディサイズは、標準車で全長3940×全幅1695×全高1475mm。スポーツモデルは3ナンバーワイドボディになる。
そして、このスポーツモデルはモータースポーツでのノウハウが投入された 「GR」モデルで、次期モデルで一番の注目グレードになる。
というのも、現在トヨタはヤリスでWRCに参戦しているが、実はこのWRCのイメージを市販のヤリスに活かしたい狙いがあるのだ。そのため、モータースポーツに深く関わるスポーツモデル「GR」の存在が重要となる。
また、搭載エンジンについてもさらなる詳細がわかってきた。NA車はすべて直列3気筒となり、標準モデルのエンジンは1L、1.3L、1.5Lが用意され、組み合わされるトランスミッションはCVT。
ハイブリッドも設定され、こちらはアクアなどと同じ従来の1.5L+THSになる。駆動方式はFFに加えて、プリウスと同じシステムのHV4WDも用意される。
スポーツモデルのGRは1.6lの3気筒ターボを搭載。トランスミッションは6速MT、それに新開発のハイパワー対応ATが組み合わされるという情報がある。
デビューは、標準モデルは2019年末、GRは1年ほど遅れて2020年になる見込み。さらにスポーツモデルはエンジンまでチューニングの幅を広げ、より過激な走りが楽しめるGRMNモデルも計画しているというから、こちらも期待大。
ヴィッツといえば、1999年に(スターレットの後継車として)初代モデルが登場し、現行型となる3代目は2010年12月に誕生した。以来7年半、地道に進歩を遂げてきたが、ここにきていよいよその世界戦略車としての役割を存分に発揮すべく、「ヤリス」という車名で勝負に出る。
本件は続報が入り次第、順次お伝えしてゆきたい。
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