世紀のロイヤルウェディングで注目、あの青いスポーツカーの正体は?

世紀のロイヤルウェディングで注目、あの青いスポーツカーの正体は?

 さる5月18日、世界中の人々が注目したであろう英国王室のヘンリー王子とメーガン・マークル妃の世紀のロイヤル・ウェディング。

 このさなか、ふたりがウェールズ公主催のレセプションが行われるパーティー会場まで向かう道中に乗った1台のクルマ。気になっていた人も多いのではないだろうか?

文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年7月10日号


■エンツォ・フェラーリも絶賛の名車にEVユニットを搭載

 このクルマは「ジャガーEタイプコンセプトZERO」。ベースとなったのは1961年に発表されたジャガーEタイプで、かのエンツォ・フェラーリ氏も「これまでに作られたなかで世界一美しいクルマ」と絶賛していたほどの名車。そのEタイプをベースにEVのユニットを搭載し、昨年(2017年)9月にジャガーのクラシック部門を担当するジャガーランドローバークラシックが発表していたモデルで、今回のロイヤルウェディングで晴れてお披露目となった。

ジャガーEタイプコンセプトZERO
ジャガーEタイプコンセプトZERO

 ジャガーランドローバークラシックは、ほかにも50年代のXKSSの復刻生産やへヴィメタバンド、アイアンメイデンのドラマーであるN・マクブレインが保有するXJ6のフルレストアなどでも話題を呼んでいる。

 で、このEタイプコンセプトZEROの元とされるのは、1968年式のシリーズ11/2Eタイプロードスターで、269ps/38.1kgmの直6、4.2L DOHCのXKエンジンに代えて220kWを発揮する電動パワートレーンを搭載。パワートレーンはジャガーのEVコンセプト、I-PACEのシステムがベース。

 このユニットの総重量はオリジナルよりも46kgの軽量化が施されており、XKエンジンと同じ重量と寸法のユニットであるため、サスやブレーキといった車体側の基本構造も変更する必要がない、凝りに凝ったものなのだ。もちろん、前後重量配分もオリジナルとまったく同じだ。

 エクステリアもほぼオリジナルを再現したものになっており、違いはヘッドライトに現代らしくLEDが採用されているくらいだ。モーターはバッテリーのすぐ後ろ、もともとはギアボックスの位置に配置されているのだが、そのようなレイアウトが採用されている理由はいつでもオリジナルの直6エンジンを搭載できるように配慮されているためだという。

こちらは元祖ジャガーEタイプ。1961〜1975年生産。しかしオリジナル、めちゃくちゃカッコいいですな…
こちらは元祖ジャガーEタイプ。1961〜1975年生産。しかしオリジナル、めちゃくちゃカッコいいですな…

「ZERO」の最高出力は304psを発揮し、航続距離は約270kmで、0-100km/h加速はわずか5.5秒と、オリジナルを1秒近く上回るパフォーマンスを発揮するという。もちろん、給油口は通常充電用のSAE J1772用充電ソケットに変更されている。

 気になるこのEタイプZEROの価格は、約35万ユーロ(約4575万円)。ちなみにジャガーランドローバークラシックによれば、このEタイプZERO以外にも同じXKエンジンを搭載していたモデルには、この電動パワートレーンを組み込むことが可能。具体的には1992年まで製造されていたXK120、マーク2、XJ6などが対象となる。

メーガン・マークル妃を乗せ、自らハンドルを握るヘンリー王子。車体後部には6気筒エンジンではなく、同重量・寸法の電動パワートレーンを搭載
メーガン・マークル妃を乗せ、自らハンドルを握るヘンリー王子。車体後部には6気筒エンジンと同重量・寸法の電動パワートレーンを搭載している

■歴代英国王室CAR

 2011年にキャサリン妃と結婚したウィリアム王子はアストンマーチンDB6Mk2 ヴォランテを運転。これは1969年にウェールズ公が購入したもので、ダイアナ妃を乗せチャールズ皇太子(当時)自身も運転。エリザベス2世のベントレーステートリムジンはおなじみ。

こちらはアストンマーチンDB6ヴォランテSWB
こちらはアストンマーチンDB6ヴォランテSWB

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