時代の先取りや読み違えにより、登場時期を間違えたクルマは意外と多い。時代にはマッチングせず、短命に終わってしまったのだが、その中には名車(迷車?)が多いものだ。
ユーザーからは意外と好評だったのに、販売台数が伸び悩み消えていったクルマや、販売側としては、時期尚早に思えるドロップアウトも数多くあった。
そこで、本稿では元トヨタディーラー営業マンの筆者が、2021年の今、復活を熱望するクルマをピックアップしていきたい。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、DAIHATSU、MAZDA
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■トヨタ 初代カローラスパシオ
1997年から2007年まで、販売されてきたカローラスパシオ。初代は非常に独創的なクルマだった。
当時としては異色な2×2×2の6人乗りを実現し、2列目シートはベンチ式で、運転席側にオフセットしている。シートを倒したりスライドしたりすることなく、3列目へアクセスできる仕様だ。
個性際立つのが2×0×2の4人乗り仕様だろう。一般的にはサードシートが取り払われ、2列シートで4人(5人)乗りを実現するが、スパシオではセカンドシートをなくした。これにより、後席足元には、ヴォクシーやアルファードのセカンドシート並みの、広大な空間が生まれる。
2列目シートを取り払うという発想は、6人乗り仕様でも健在だ。オプションのアタッチメントを取り付けることで、2列目シート外して車外に出し、ベンチとして使用できる。キャンプ場にわざわざ椅子をもっていかなくても、クルマから取り外せばいいという、面白い発想のクルマである。
外レジャーが人気を集めるなか、全長わずか4135mmのボディで超多彩なシートアレンジができるカローラスパシオこそ、アウトドアで役立つクルマになるはずだ。
■トヨタ ラウム
乗降のしやすいスライドドアを搭載するクルマは、ハイト系ワゴンに多い。低めの運転姿勢から生まれる操縦性を残しながら、スライドドアの利便性を楽しめるクルマは、ほとんどなくなってしまった。
ラウムはスライドドアを搭載しながら、全高は立体駐車場にも余裕で収まる1535mm(ルーフレール装着車は1570mm)しかない。全長は4045mmと短く、ほとんどアクアと同じだ。
アクアやヤリスのような運転姿勢をとることができ、取り回しがしやすいクルマは、中高年層に人気が出ると思う。運転するのは楽だし、後席はスライドドア(パノラマオープンドア)で乗り降りもしやすいだろう。
コロナ禍でマイカー移動が増えた昨今、誰でもどこでも使いやすい、ラウムのようなクルマが増えれば、クルマを苦手とするユーザーからも、支持が集まるように思う。
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