ルノーを代表する往年の実用車「ルノー4(キャトル)」が、今年で生誕60周年を迎えた。それを記念し、ルノーとThe Arsenaleのコラボレーションによるショーカー「AIR4(エアキャトル)」が製作させ、世界初公開された。
往年のキャトルの雰囲気を巧みに取り入れたショーカーには、なんと道路は不要。そう、空飛ぶクルマとして作られているのだ。キャトルの歴史を振り返りつつ、ユニークな未来のキャトル「AIR4」について紹介しよう。
文/大音 安弘、写真/ルノー
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■生誕60周年を迎えたルノーの名車「4」
ルノー4は、1961年に新たなルノーの大衆車として誕生。当時、市場を席巻していたライバルの大衆車「シトロエン2CV」を徹底的に研究して、開発された。極めて合理化な設計とすることで、安価で実用性の高いモデルが目指された。
驚くべきは、1993年まで基本構造を大きく変更することなく、生産及び販売が継続されたこと。そのため、累計生産台数は、800万台を越えており、VWタイプ1(ビートル)やT型フォードに継ぐ、歴史上世界3位を誇るほどだ。
■目指されたのは究極の実用車
「シンプル イズ ベスト」を目指したキャトルは、小型車ながら、居住性と積載性を最大限高めるべく、ルノーとして初となる前輪駆動方式を採用。同時に、安価とするために、徹底したコストダウンにも取り組んだ。
その象徴的な存在がパワーユニットだ。従来型となる後輪駆動車「4CV」のものをそのまま活用していたため、フロントに搭載されるエンジンの前方にトランスミッションが配置されるという大胆な構造を持っていた。
足回りには、4輪ともに長いサイズのトーションバー・スプリングを採用しているが、横置きとなるリアサスペンションでは、トーションバーの干渉を防ぐため、左右のトーションバーが並列に配置している。
このため、左右でホイールベースが異なるという大胆な設計であったが、これはフラットなフロアによる積載性と悪路での快適な乗り心地を両立させるための秘策であった。
搭載されるエンジンもコンパクトで、747ccからスタートし、後に782ccに拡大。このほかにもグレードにより、845ccや1100ccのエンジンも搭載された。
また、エントリーモデルとして、よりボディ構造を簡素化し、排気量も縮小した「3(トロワ)」をはじめ、バンの「フルゴネット」やオープントップの「プレネール」など、シンプルなクルマだが、バリエーションは豊富だった。
そして、何よりも効率を追求したハッチバックボディは、その後の実用車たちに大きな影響を与えたと言われている。いささか構造的には、強引な手法を取っていたものの、画期的な存在でもあったのだ。
そんなルノーのアイコンといえる「キャトル」の60歳の誕生日を祝うべく、フランスでは、SNSを活用した記念コンテンツやルノーが所有する「4」による展示などのさまざまなイベントが開催されている。
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