ほとんどの乗用車が効率のいいFFを採用するようになって、後輪駆動車はどんどん少なくなっている。ましてやリアにエンジンを搭載するRRは、もはやニッチな存在だ。
そんなレアなRR車のオーナーに最近なった清水草一氏にその魅力を語ってもらった!
文/清水草一、写真/清水草一、ベストカー編集部
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■トゥインゴ乗って気が付いた、リアエンジンの奥深い世界
リヤエンジン・リヤドライブと言えば、言うまでもなくポルシェ911が代名詞だ。
フェルディナント・ポルシェ博士が採用したRR方式は、スペース性に優れているとして、第2次大戦後間もない時期、フォルクスワーゲン・タイプ1(元祖ビートル)だけでなく、ルノー4CVやスバル360、マツダR360、といった大衆車たちに採用された。
が、最終的にはFFとの争いに敗れ、ポルシェ911を除いてほぼ絶滅した。
だからこそRR方式は、クルマ好きにとってひとつのロマン。前で引っ張るより、後ろに重心を置きつつ後ろからグイッと押すこの駆動方式は、非常に男らしい印象がある。
先日、生まれて初めてRRのルノー・トゥインゴを買った筆者が、RRの特徴とその変遷を記してみた。
■はじめてのRR体験はトリッキー&強烈挙動
生まれて初めて運転したRR車は、ご多分に漏れずポルシェ911だった。モデルは930(カレラ)。930ポルシェは、RRの……というより、911の特徴のカタマリのようなクルマで、RR特有のトリッキーさを存分に持っていた。
私が乗ったのは最末期の930だったので、それでもだいぶ操縦性は穏やかになっていたのかもしれないが、コーナリング中のアクセルオフでのオーバーステア(タックイン)は強烈だった。
コーナリング中にノンパワステのステアリングの手応えが軽くなってきたら、それはリヤがブレークする前兆。でも、そこでアクセルを戻したらタックインでリヤがズバーンと張り出すという、崖っぷち感がビンビンで、乗り手を選ぶ男のクルマだった。
このスパルタンな操縦性は、964、993と時を経るにしたがって穏やかになって行き、996にいたっては、まず味わうことすら難しくなった(GT3を除く)。
一般ドライバーが乗るクルマにとって、あの操縦性は危険すぎる。じゃ元祖ビートルはどうだったのかというと、911に比べると全然パワーがないし限界も低いので、そこまでの挙動はなかなか出ないけれど、突然オーバーステアが始まる点は同じ、って感じでしょうか?
RRが衰退した原因は、スペース効率でFFに負けただけでなく、このトリッキーな操縦性にもあった。
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