経済が減速し、社会が定常化すると、逆に過去が新しく感じられる。クルマの世界でも、ネオクラシックカーが穏やかなブームになるなど、リバイバルの風潮は確実に感じられる。
そんな風潮の真骨頂が復刻車だ。復刻車というと、言葉の響きは「オリジナルを忠実に再現したクルマ」のように感じられるが、ここでは過去の名車のエッセンスを取り入れたクルマ全般を指すことにしよう。
過去を振り返り懐かしむ復刻車。それは前向きなのか後ろ向きなのか!? そこんところをモデルごとに判定していこう。
※本稿は2017年のものです。
文・判定:清水草一
写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2017年8月26日号
■No.1 日産 IDx(2013年11月 東京モーターショーにて発表)
2013年の東京モーターショーで初公開されたIDxニスモ(下)とIDxフリースロー(上)。1960〜1970年代の日産箱型スポーツセダンや2ドアハードトップを連想させる。サイズは全長約4.1m、全幅約1.8m、全高約1.3m。
◎清水草一の判定………アリ!!
これまで登場した国産復刻モデルのうち、最も欲しいと思わせる要素豊富なショーカーだったと考えている。逆スラントノーズや直線基調のフォルムに普遍的な魅力があっただけに残念。
■No.2 スバル エルテン(1997年11月 東京モーターショーにて発表)
1997年の東京モーターショーに出展されたエルテンはスバル360をモチーフにしながらも4ドア。46ps/5.8kgmの658cc直4ガソリンエンジンのパラレルハイブリッド+4WDを搭載。
◎清水草一の判定………ナシ!!
最も復刻するにふさわしい国産車はスバル360の復刻ショーカーだと思っているが、こうして見てもあまりそそられない。オリジナルは実にすばらしいクルマだが、復刻されるほどではなかったということなのか。
■No.3 トヨタ オリジン(2000年11月発売・限定1000台)
初代トヨペットクラウンRSをモチーフに手作業で製作された。発売当時700万円だったが、約17年経った現在でも中古車相場が180万〜450万円というのは凄い。
◎清水草一の判定………ナシ!!
登場時は観音開きのドアを筆頭に「よくぞ作った!」と思ったが、時が経つにつれ、ミツオカ的ニセモノに見えてきた。実際、プログレをベースに初代クラウンっぽいクルマを作っただけで、そこに発展性はない。
■No.4 マツダ コスモ21(2002年1月 東京オートサロンにて発表)
NB型2代目マツダロードスターをベースに初代コスモスポーツの後期型をモチーフにしてエアロパーツも換装。足回りもロードスターをそのまま流用し、RX-8用のロータリーエンジン・レネシスを換装した作品。それほど評価されず、発売されることはなかった。
◎清水草一の判定………ナシ!!
新しい提案が感じられず、単に低コストで復刻可能なニセモノになっている。確かにコスモスポーツは魅力的なクルマだが、仮にこういうクルマが発売されても、あえて欲しがる人はごくわずかだろう。
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