軽の商用車市場にこのところ大きな動きがある。ダイハツは2021年末にそれらをフルモデルチェンジし、先進安全装備や車内スペースの拡大などが図られた。
そして最大のライバルとなるスズキもこのほど軽トラ、軽商用バン及びそれをベースにした乗用モデルの一部変更を実施。ざっくり言ってしまえば、快適装備や先進安全装備の充実化がメインとなるのだが、最大のトピックスが軽商用バンのエブリイからターボモデルが廃止されたのだ。
今回はスズキの商用モデルの変更箇所を紹介するとともに、ターボモデルが廃止されたワケを徹底分析する! 果たしてその理由とはなんだ!?
文:永田恵一/写真:スズキ
【画像ギャラリー】軽商用バンの熾烈な戦い! エブリイとハイゼットの違いはどこだ!?(10枚)画像ギャラリーエブリイのターボ廃止のワケは販売比率にアリ!? CAFÉ規制対策の可能性も
2022年4月7日(木)にスズキエブリイ(軽1BOXバン)、エブリイワゴン(乗用ワゴン)、キャリイ(軽トラック)がそれぞれ仕様変更された。昨年12月に改良されたダイハツの軽商用車群となるハイゼットカーゴ、アトレー、ハイゼットへの対抗という意味もある可能性がある。
今回の一部仕様変更の内容は基本的に歓迎できるものなのだが、その内容には1つだけ軽1BOXバンを乗用車的に使うユーザーには非常に残念な点があった。それがエブリイのターボモデル廃止である。
筆者は4年前に某誌で「軽キャンピングカーで東京から高速道路を使わず北海道ほぼ1周」という企画を敢行した経験がある。そのときの軽キャンピングカーのベースは現行エブリイJOINターボ(4AT+4WD)だったのだ。
キャンピングカー化で車重が重くなっても、動力性能は十分、燃費も北海道の流れだと14km/L程度とジャンルを考えれば申し分なく、本当にいい相棒であった。筆者は「乗用車的な軽1BOXバンターボをファーストカーにするのもいいな」と前々から思っており、このことはエブリイJOINターボベースの軽キャンピングカーとの旅から確信に変わったのだ。
エブリイJOINターボは価格もNAモデル比でプラス10万円少々とリーズナブルなのに加え、希少なグレードと思われるだけにリセールバリューも良さそうと、長い目で見ればお得なクルマにも感じていた。そんなモデルだっただけに、エブリイJOINターボの廃止にショックを受けているのはきっと筆者だけではないのではないだろうか。
エブリイJOINターボが廃止された理由をスズキに聞くと、「エブリイの販売比率はPC、標準系の標準グレードとなるPAリミテッド、NAのJOINの順で、JOINターボの比率は低かったから」とのことだ。
しかし、スズキ車の販売経験がある編集部Kさんに聞くと「僕が販売していた数年前ですが、JOINターボは10%くらい売れていた気がします」と言い、今も無視はできない比率だったのではないかと思う。そのため、エブリイから昨年9月の一部仕様変更でJOINターボのMTがなくなったのは本当に販売比率が低そうなだけに理解もできるが、ATまで廃止になったのはちょっと納得できない。
ここからは完全な筆者の憶測となるが、エブリイJOINターボの廃止はCAFÉ(企業別平均燃費規制)を下げることを目的としている可能性も考えられる。というのもダイハツの商用車群は昨年12月のマイナーチェンジとフルモデルチェンジで、CAFÉ対応もあり燃費向上のため2ペダルモデルをCVTにしており、そのおかげもあってか軽1BOXバンのターボ車も存続している。
そして今回の一部仕様変更でエブリイの4速AT、キャリイ(キャリイはこの一部改良でATも3速から4速になった)がアイドリングストップ付となったのに加え、昨年9月にジムニーとジムニーシエラのAT車もアイドリングストップ付となった。このあたりの動きもエブリイJOINターボの廃止と無関係ではないのかもしれない。
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