“軽トラ”ナンバーワンが決定!! 軽トラック3車種を徹底比較

 最も身近な商用車のひとつが軽トラックだが、この軽トラのなかで、もっとも優れているモデルはどれなのか? 今、新車で買える軽トラは、スズキキャリイ、ダイハツハイゼットトラック、ホンダアクティトラックの3車種(そのほかはOEM車)。そこで、その3台を集めてテストを実施。3車を徹底比較してみた!! テスターは、ユーザー目線のクルマ選びに定評のある渡辺陽一郎氏。姿形はどれも似ている軽トラだが、どの車種がどんな点に優れているのか? それでは、渡辺氏によるテストレポートを紹介!!
文:渡辺陽一郎
写真:平野学


■テスト車両は日本の軽トラック3車種

 日本には3車種の軽トラックがある。OEMを含めるともっとあるのだが、オリジナルのモデルは3車種だけ。今回のテストは普通の人ならば写真だけ見ても見分けがつかないほどの軽トラックを、徹底比較してどれがナンバーワンかを決めるというもの。過酷な? テストに参加した日本が世界に誇る3台をご覧いただこう!!

【スズキ キャリイ】

スズキキャリイは68万4720円〜116万7480円。今回のテスト車は3ATの2WD車

【ホンダ アクティ】

唯一のミドシップ軽トラのアクティ。価格帯は79万円〜117万9600円。テスト車は中間グレードのSDXで2WD車。ちなみにこのアクティはホンダの工場の業務車両

【ダイハツ ハイゼットトラック】

オシャレなカラーが目を引くハイゼット。価格帯は65万3400円〜130万6800円。テスト車は4ATの最上級のエクストラ

■0-50km/h加速で最速加速ナンバーワンは?

 軽トラックは高速道路を頻繁に走るわけでもなく、当然高速走行性能よりも積載性、そして信頼性に重きを置いている。しかしです!! 急いで収穫物を農協に持っていく日もあるでしょう、仕入れた魚を小料理屋に運ぶ時もあるでしょう!! そんな時のために0-50km/h加速を図ってみました(ベストカーWeb編集部)。

 今日の軽トラックが搭載するエンジンはすべて自然吸気で、過給器を備えた仕様はない。車両重量は後輪駆動の2WDが700~800kgで、ボディの後部が荷台になるわりに重い。荷物を運ぶためにボディの底に耐久性の高いフレームを備え、軽量化もあまり図っていないからだ。

【0-50km/h加速タイム】

(1) アクティ 5.47秒
(2) キャリイ 5.72秒
(3) ハイゼット 6.97秒

 停車状態から時速50㎞までの加速タイムをメーター読みで計ると1位はアクティだった。エンジン性能はキャリイの最大トルクが0.4kgm上まわって発生回転数は低い。加速力で有利になりそうだが、アクティはギヤ比が低くタイム計測では速かった。ただしアクティは高回転域で車速が伸びるため、通常の走りではキャリイが使いやすい。ハイゼットのエンジンも素直な性格だが、4WDだからボディが少し重く(計測は2WD状態で行った)、ライバル2車に1秒以上遅れた。

そのダッシュ力が積荷の鮮度に直結する……、かはわからないがアクティのエンジンの伸びはさすがホンダといった感じ 

■農道のポルシェの後釜はいるか?

 かつて日本の農道には「農道のポルシェ」と呼ばれたクルマがいた。それがスバル・サンバー。リアエンジン・後輪駆動の、いわゆる「RR」マシンは多くの軽トラユーザーに愛されたもののすでに絶版。現行車種ではハンドリングに優れる軽トラはいるのか? まさかのハンドリングチェック、やっちゃいました(ベストカーWeb編集部)。

 走行安定性が最も優れているのはアクティだ。前後の重量配分は、車検証の記載値で58:42%とバランスがいい(キャリイは前輪が61%・ハイゼットは63%)。軽トラックとしては正確に向きを変える。ボディの後部にエンジンを搭載しながら、旋回時に慣性の影響を受けにくく、4輪が粘りながら曲がる感覚だ。操舵した時の手応えもしっかりしている。

 2位はハイゼット。アクティはミドシップの特性を抑えるために、後輪の接地性を意図的に高めた印象だが、ハイゼットは自然な感覚だ。3位はキャリイ。操舵感は少し鈍いが車両の挙動は安定しており、ハイゼットとの違いは僅差となる。

実は「農道のNSX」の異名も持つミドシップのアクティ。キビキビした走りは最高だ

■小回りキングはどれだ?

 軽トラックは小回りが効くことも大事。なんせ農道はとてつもない曲率があることも。しかも勾配が付いていたりすると切り返すのも怖い。さらに農道の脇には用水路などのトラップもあるから一発でサクッと曲がりたい!! そんな時のためにこのテストを実施しました(ベストカーWeb編集部)。

 軽トラックは農業のツールとして使われることが多く、あぜ道を走る時は頻繁に直角に曲がる。小回り性能が重要で、ハイゼットとアクティはホイールベースを1900mm、キャリイも1905mmに抑えた。そこで小回りの利きを実測した。

【回転内側直径実測値(カッコ内はカタログ値の最小回転半径)】

(1) アクティ 3.23m(3.6m)
(2) キャリイ 3.58m(3.6m)
(3) ハイゼット 3.79m(3.6m)

 駐車した状態で、左タイヤが接する路面をマーキングする。そこからハンドルを左へロックするまで回して、徐行しながら180度旋回する。この状態で左タイヤが接する路面にもマークを付け、旋回の内径を測った。カタログに記載される最小回転半径はすべて3.6mだが、実測値はアクティが最も小さく、次いでキャリイ、ハイゼットの順番で拡大した。アクティは確かによく曲がる。

カタログ値ではすべて3.6mという最小回転半径だが実測ではアクティが最小。どの軽トラも限られたスペースのなかで完成度は非常に高い

■荷物を積むには荷台も大事!!

 軽トラは農業や漁業だけのマシンではない!! 工務店や表具店などでも愛される相棒なのだ。そこで大事なのが荷台の広さ。スペック上はほとんど同じなのだが、それではテストの意味がない。積みやすさも合わせて実測しちゃいました(ベストカーWeb編集部)。

 軽トラックで重要な荷台の広さを床面部分で実測すると、長さはキャリイとハイゼットが同程度でアクティは短い。試乗車がオプションの荷台保護パネルを備えていたことも影響したが、カタログの記載値もライバル2車を90mm下まわる。荷台幅は3車とも同等だ。

 荷台の床面地上高はキャリイが低く、重い荷物を積む時の作業が少しラクになる。キャリイは約3万6000kmを走ったレンタカーだから劣化も考えられるが、カタログ値もハイゼットとアクティが駆動方式を問わず660mm、キャリイは650mmと低い。

 最低地上高はキャリイとハイゼットが160mm、アクティは185mmと高い。仮にアクティの最低地上高がライバル2車と同じなら、荷台は最も低くなる。

こう見ると広々の軽トラの荷台。写真のキャリイは荷台地上高が実測値でもっとも低かった

■室内が広くてユーザーに優しいのは?

 軽トラックは実用性が最優先!! もちろん乗降性や車内の広さは非常に大事。とはいえ軽自動車規格のなかで最大限のスペースを確保している3車種だけに計測はほとんど変わらず。シートの奥行きなどで比較してみた(ベストカーWeb編集部)。

 身長170cmのドライバーが座って頭上空間を実測すると、3車とも握りコブシ1つ少々の余裕があり、ハンドルと運転席の背もたれの間隔もほぼ同じだ。タイヤが収まるホイールハウスと、ドア開口部前端の間隔(乗降時に足が通る部分)はキャリイが最も広く、乗降性がいい。

 軽トラックのユーザーは長靴を履いて乗降することもあり、間口の広さを重視した。ハイゼットは狭く足の取りまわし性がよくない。シートの奥行寸法は、ハイゼットとアクティは同等でキャリイは約20㎜短い。乗降性を優先したが、座った時に違和感が生じることもある。またアクティはホールド性が少し優れている。

スズキのキャリイはシートの奥行きが20mmほどライバルよりも短いが、乗降性は抜群。にしても……このコスチュームほんとうによく似合うなぁ

■総合ナンバーワンに輝く1台はいかに?

 価格は横並びだ。装備が同等で比べやすい2WDのベーシックグレードで見ると、キャリイKCエアコン・パワステが88万8840円(3速AT)、ハイゼットスタンダードが90万1800円(4速AT)、アクティSDXが90万5600円(3速AT)になる。アクティはATが3速なのに価格が90万円を超えるが、荷台作業灯が備わる。

 機能のバランスが最も優れている1位はキャリイだ。突出した特徴はないが、乗り降りがしやすく、荷台が低めで重い荷物も積みやすい。エンジンは実用回転域の駆動力が高くて扱いやすい。対称的なのは2位のアクティで走りの評価が高い。高回転指向のエンジンを含めて、ホンダらしい軽トラックだ。

 ハイゼットの走りはいま一歩だが、農業で働く女性を視野に入れて開発され、ピンクやオレンジの外装色を選べる。スーパーUV&IRカットガラスなどを備えたビューティパックも用意した。いずれの車種も個性が豊かで、日本のビジネスを力強く支えている。

今回のチャンピオンはキャリイに決定!! どれも個性豊かな軽トラだけに用途によって選びたいところ。普通に乗っていても楽しいから、クルマ好きなら思わず1台欲しくなるが

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