最も身近な商用車のひとつが軽トラックだが、この軽トラのなかで、もっとも優れているモデルはどれなのか?
今、新車で買える軽トラは、スズキキャリイ、ダイハツハイゼットトラック、ホンダアクティトラックの3車種(そのほかはOEM車)。
そこで、その3台を集めてテストを実施。3車を徹底比較してみた!! テスターは、ユーザー目線のクルマ選びに定評のある渡辺陽一郎氏。
姿形はどれも似ている軽トラだが、どの車種がどんな点に優れているのか? それでは、渡辺氏によるテストレポートを紹介!!
文:渡辺陽一郎
写真:平野学
テスト車両は日本の軽トラック3車種
日本には3車種の軽トラックがある。OEMを含めるともっとあるのだが、オリジナルのモデルは3車種だけ。
今回のテストは普通の人ならば写真だけ見ても見分けがつかないほどの軽トラックを、徹底比較してどれがナンバーワンかを決めるというもの。過酷な? テストに参加した日本が世界に誇る3台をご覧いただこう!!
【スズキ キャリイ】

【ホンダ アクティ】

【ダイハツ ハイゼットトラック】

0-50km/h加速で最速加速ナンバーワンは?
軽トラックは高速道路を頻繁に走るわけでもなく、当然高速走行性能よりも積載性、そして信頼性に重きを置いている。
しかしです!! 急いで収穫物を農協に持っていく日もあるでしょう、仕入れた魚を小料理屋に運ぶ時もあるでしょう!! そんな時のために0-50km/h加速を図ってみました(ベストカーWeb編集部)。
今日の軽トラックが搭載するエンジンはすべて自然吸気で、過給器を備えた仕様はない。車両重量は後輪駆動の2WDが700~800kgで、ボディの後部が荷台になるわりに重い。
荷物を運ぶためにボディの底に耐久性の高いフレームを備え、軽量化もあまり図っていないからだ。
【0-50km/h加速タイム】
(1) アクティ 5.47秒
(2) キャリイ 5.72秒
(3) ハイゼット 6.97秒
停車状態から時速50㎞までの加速タイムをメーター読みで計ると1位はアクティだった。エンジン性能はキャリイの最大トルクが0.4kgm上まわって発生回転数は低い。
加速力で有利になりそうだが、アクティはギヤ比が低くタイム計測では速かった。ただしアクティは高回転域で車速が伸びるため、通常の走りではキャリイが使いやすい。
ハイゼットのエンジンも素直な性格だが、4WDだからボディが少し重く(計測は2WD状態で行った)、ライバル2車に1秒以上遅れた。

農道のポルシェの後釜はいるか?
かつて日本の農道には「農道のポルシェ」と呼ばれたクルマがいた。それがスバル・サンバー。
リアエンジン・後輪駆動の、いわゆる「RR」マシンは多くの軽トラユーザーに愛されたもののすでに絶版。現行車種ではハンドリングに優れる軽トラはいるのか? まさかのハンドリングチェック、やっちゃいました(ベストカーWeb編集部)。
走行安定性が最も優れているのはアクティだ。前後の重量配分は、車検証の記載値で58:42%とバランスがいい(キャリイは前輪が61%・ハイゼットは63%)。
軽トラックとしては正確に向きを変える。ボディの後部にエンジンを搭載しながら、旋回時に慣性の影響を受けにくく、4輪が粘りながら曲がる感覚だ。操舵した時の手応えもしっかりしている。
2位はハイゼット。アクティはミドシップの特性を抑えるために、後輪の接地性を意図的に高めた印象だが、ハイゼットは自然な感覚だ。3位はキャリイ。操舵感は少し鈍いが車両の挙動は安定しており、ハイゼットとの違いは僅差となる。

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