電車の先頭車両からの「前面展望」を“かぶりつき”などといって鉄道ファンは楽しんでいる。子供の頃はもちろん、機会があれば大人になってからでも“かぶりつき”は楽しいもの。横から見る車窓とは一味違う線路の様子や、運転士の所作はとてもおもしろい。“かぶりつき”でまず目に入ってくるのが信号機。道路の信号とは異なり縦に表示されているうえ、ライトの個数も2つだったり5つだったり、道路とはだいぶ異なるのに気づくはずだ。さらには、路線によっては信号そのものが見当たらないケースもある。信号なしでどうやって電車を動かしているのだろうか。ひと味違う鉄道信号に少しだけ迫ってみよう。
文・写真/服部朗宏
【画像ギャラリー】「出発進行!!」は発車の掛け声ではない。道路の信号とはひと味違う鉄道信号の表示を知れば電車が もっと面白くなる!!(10枚)画像ギャラリー色で制限速度を示す。鉄道の信号の意味は道路の信号とどう違う?
道路の信号の意味は教習所で習った通り、青は直進・左折・右折が可能、黄色は停止位置で安全に停止することができない場合を除き、停止位置を越えての進行禁止、赤は停止位置を越えての進行禁止という意味だ。
鉄道の信号は、道路よりもかなり複雑な意味を現すのだ。道路信号は停止位置を越えよよいかどうかが重要となるが、鉄道信号の考え方は若干異なる。鉄道では、列車が正面衝突したり追突したりしないように駅の部分と本線部分を区切り、さらに本線を一定の距離でいくつかの区間に分割しておき(これを閉塞区間という)、その閉塞区間内には一列車しか進入できないように交通整理をする。あるいは駅内へ進行してよいかどうかを信号の赤・黄・青の点灯方法によってで表示している。
駅に入る手前に設置するのが「場内信号機」、駅を出発するときに使うのが「出発信号機」、閉塞区間の境目に設置するのが「閉塞信号機」と呼ばれている。そして、それぞれの信号が青なら信号機を越えて既定の速度で進行してよく、赤なら信号機の手前で停止しなければならない。ひとつの閉塞区間には1列車しか入れない決まりなので、列車が青信号を通過したら直ちに信号機は赤を表示して、後続列車が同じ区間に進入することを防ぐ仕組みとなっている。
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