「出発進行!!」は発車の掛け声ではない。道路の信号とはひと味違う鉄道信号の表示を知れば電車がもっと面白くなる!!

赤・黄・青の色灯式だけではない鉄道信号機のさまざまな種類

 鉄道は信号機の種類も豊富だ。明治以来使われている一番原始的なものは「腕木式」といい、駅の係員がワイヤーを使って手動で大きな矢羽根を動かす。矢羽根がまっすぐ横向きなら「停止」で、斜め下向きなら「進行」。矢羽根が見えない夜は矢羽根のしっぽに青と赤の色ガラスが付いているのでそこに電灯を当てて青色と赤色を現示する。さすがにこのタイプで現役はほぼ絶滅状態で、青森県の津軽鉄道津軽五所川原駅と金木駅で使われているだけになった。

腕木式信号機の矢羽根と反対側には青と赤の色ガラスがあり、夜間はランプからガラス越しに青や赤の光を出して信号を現示する
腕木式信号機の矢羽根と反対側には青と赤の色ガラスがあり、夜間はランプからガラス越しに青や赤の光を出して信号を現示する

 そのほかの信号機は道路と同じく色付きのランプを点灯させるが、青と赤だけの2灯式から、複雑な表示が可能な6灯式まで5種類ある。いずれもランプは縦並び。そのほか、先の信号が見えないカーブ手前などに設置する「中継信号機」や、入換専用の「入換信号機」などがある。中継信号機の多くは白のランプ3つで、縦並び3つが進行、横並び3つが停止、斜め3つが減速・注意・警戒を予告している。入換信号は駅から車庫や留置線に回送電車が入る時などにしようされていて、おにぎり型の白色2灯タイプが一般的。横並び2つが停止、斜め2つが進行だ。

カーブで前方の信号機が見えない場合などに使われるのが黒い円板に白3灯の中継信号機。斜めの現示は進行(進入)可という意味で、前方の駅3・4番線への場内信号機が「警戒(黄2灯)を現示していて、手前の列車は徐行で駅に入れることを示している先の主信号機が青=進行現示の場合中継信号機は縦1列の表示、赤=停止現示の場合は横1列の表示となる
カーブで前方の信号機が見えない場合などに使われるのが黒い円板に白3灯の中継信号機。斜めの現示は進行(進入)可という意味で、前方の駅3・4番線への場内信号機が「警戒(黄2灯)を現示していて、手前の列車は徐行で駅に入れることを示している先の主信号機が青=進行現示の場合中継信号機は縦1列の表示、赤=停止現示の場合は横1列の表示となる

 いっぽうで、いわゆる信号機がない路線も現在では多くある。東京ならJR山手線・京浜東北線や東京メトロの一部が代表例。この場合は「車内信号式」といい、運転室内の速度計近く(円形なら外周部)に数字ランプや矢印などの表示があり、進行してよい速度を示すことで電車を進めたり止めたりする。50km/hの位置に表示があれば50km/h以下で進行可能ということだ。前に電車が詰まってれば自動的に表示の速度が下がり、最終的には停止を現示する。山手線・京浜東北線の速度調節は現時点では運転士が手動で行うが、東京メトロ丸ノ内線や有楽町線、南北線、副都心線などは速度調整も自動で行う。運転士は出発の時にボタンを押すだけで、後は停車まで全自動だ(ATOという)。運転士が乗らないゆりかもめなどの新交通システムでは、出発から停止まですべて遠隔自動操作なので、当然信号機も必要ない。

道路信号だが電車専用。路面電車の走る区間で見ることができる

 最後に、道路信号であって鉄道信号ではないが、電車専用という信号も紹介しておこう。

 路面電車用の黄色矢印信号だ。教習所でも習ったはずだが、路面電車が無い地域では完全に忘れている人も多いことだろう。実際に、他地域から来たドライバーが黄色矢印で進行してしまい事故になったりなりかけるケースがある。路面電車といっても地域により実態は様ざま。広島では数車体をつないだ長い電車が走っているし、京阪電鉄の浜大津駅付近では京都から直通してくる4両編成の大きな電車がゴロゴロと道路を走る姿が見られる。これらの大きな電車も道路を走る区間に道路の信号があれば、それに従わなければならない。

黄色の矢印付き道路信号機のアップ。黄色矢印は路面電車専用のため路面電車のない町には存在しない。そのためレンタカーなどが青矢印と見間違って事故を起こすケースをたまに聞く
黄色の矢印付き道路信号機のアップ。黄色矢印は路面電車専用のため路面電車のない町には存在しない。そのためレンタカーなどが青矢印と見間違って事故を起こすケースをたまに聞く
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