トラックのDPFは、排出ガスに含まれる有害な粒子状物質をキャッチし、排気熱で消し去ってくれる、とってもありがたい装置。だがストップ&ゴーの多い環境などで排気熱が不足すると、フィルターが目詰まりし、深刻なトラブルの原因になる。
DPF本体の新品価格は25〜100万円と高額なのがネックだが、ここにきてフィルターの目詰まりを洗浄、あるいは洗浄したリビルト品を販売するサービスが多数登場し、注目を集めている。
一体、DPFの洗浄/リビルトはどんなサービスなのか? 今注目のDPF洗浄/リビルトメーカー、リトラス・セラメックスの工場をレポートした。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
【画像ギャラリー】専用マシンを使って欧州と同等の高品質で行なわれるDPFの洗浄/リビルトの現場をチェック!!(13枚)画像ギャラリー欧州や米国で25万件以上の実績を誇るDPF洗浄技術
リトラスグループは中古トラックの販売/買取がメインの会社で、北海道から九州まで、日本全国に中古トラック販売/買取のネットワークを持つ。常に1000台以上の車両を在庫し、中古パーツやトラックボディ架装事業なども幅広く行なっている。
いっぽう、今回紹介するリトラス・セラメックスは、リトラスグループが2017年にイギリスのセラメックス社と設立した合弁会社。
セラメックス社は、欧州や米国で25万件以上の実績を誇るDPFの洗浄/リビルト専業メーカーで、独自の特許技術を用いた高品質な洗浄/リビルトが持ち味。日本の建機メーカーとも取引があるという。
リトラスグループが自社で販売した中古トラックの販売後の故障原因を調べると、DPFが原因となっている場合が多いことが判明。また、その過程でユーザーがDPFのことで困っていることも判明したことから、日本進出を図るセラメックス社とタッグを組んで、合弁会社を設立したのだという。
新品の7割程度の価格にも注目!!
同社のDPFの洗浄/リビルトサービスは、福井県越前市にあるリトラスパーツセンター内の工場で行なわれている。すでに販売開始から5年が経過し、認知度も高いようで、取引先はトラックメーカー、ディーラー、運送会社など多岐に渡る。
DPFの洗浄/リビルトサービスは、受入点検、内部洗浄、乾燥、空気流速検査、光検査、赤外線検査、外部洗浄という7工程で行なわれる。ちなみに受入点検とは、入荷した中古DPF(コアと呼ぶ)を点検し、管理用のバーコードを取り付ける工程だ。
最大の特徴は内部洗浄工程で、セラメックス社独自の特許技術を用いてフィルター内部を洗浄。他社の洗浄機が水道水と溶剤を使うのに対し、同社の洗浄機は精製水と圧縮空気を使用するのが特徴で、これによりフィルターのスス/灰を90〜100%除去可能という。
洗浄後の検査もこだわりポイントで、高精度の流速検査装置を用いてDPF内に一定の空気を通し、流量や流速の測定を行なう空気流速検査のほか、光の種類/波長を変えて2種類の検査を行なう光検査、赤外線写真で目詰まりをチェックする赤外線検査など3段階でチェックを実施。
同社が公開している、従来の洗浄方法と同社の洗浄方法の比較データによると、除去されたスス/灰の平均重量は従来が81gに対し同社は294g、空気流速実験の合格率は従来が51%に対し同社は91%と、かなり優れた数値をマークしている。
価格だが、DPF本体の新品価格が小型で約25万円、中型で約50万円、大型で約100万円に対し、リビルト品(洗浄済み在庫品)はその7割程度とのこと。また、洗浄のみなら10万円から可能。通常は予防整備として洗浄を活用し、急な故障時はリビルト品を活用するのが良さそうだ。
なお、同社では現在、DPFの洗浄/リビルトを年間1800〜2400台のペースで行なっており、さらなる拡大も検討中。将来的には、車載診断機の情報からDPFの詰まり具合を解析し、予防整備を提案する独自サービスも展開したいとしている。
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