何から何まで値上げ、値上げの2022年夏。物価も気温もうなぎのぼり。それは自動車も例外ではない。
すでに値上げ幅を発表しているメーカーの情報をもとに、継続生産モデルとモデルチェンジ車の値上げ幅、さらに欧州車の値上げ幅まで予測する。
※本稿は2022年7月のものです
文/国沢光宏、写真/AdobeStock(メイン写真=moonrise@AdobeStock)
初出/ベストカー2022年8月10日号
■継続生産モデルまでが異例の値上げ!
新車の値上げが近づいてきた。早ければ夏休み明けに続々と価格改定を行い始めることだろう。
今回の値上げの「異例」さは、継続生産モデルまで値上げするという点にある。
今までの値上げ、すべてマイナーチェンジや年次改良による仕様変更を伴った。グレードアップする代わりに価格も上がりますよ、ということ。
しかし今後行われる価格改定は、まったく同じ仕様のままで値上がりするし、仕様変更を伴えば一段と値上がり幅も増えると思う。
気になるのは値上げ幅。すでにマツダと三菱自動車が継続生産車の値上げ幅を3%程度に考えている旨の情報を流している(スバルも今夏、フォレスターの価格を約2%値上げするとの情報あり)。
マツダの地元紙である『中国新聞』は、239万円のCX-30で6万6000円の値上げを行うと報じた。3%弱といったイメージ。
同じ中国新聞は三菱自動車も値上げして、これまた3%程度になると紹介している。6万6000円(3%)という値上げ額、妥当なものだろうか? 以下、わかっている範囲で分析してみたいと思う。
一番大きい値上がり要因になるのは鋼材だ。CX-30の原価計算をした時点から、すでに1トンあたり2万円値上がりしている。
CX-30に使われている鋼材の重量を推算すると約1トン。今秋からさらに値上げすると言われているため、鋼材だけで最大4万円の値上がり要因になります。
参考までに鋼材最大手の日本製鉄は自動車メーカーに対し値上げ要求した結果、満額回答を受けた。結果、収益率が大幅によくなったらしく史上最高益を上げている。
タイヤの値上がりも大きい。2年前と比べ素材の高騰により10%の値上がり。
そのほか、高騰している原油から作られる樹脂部品、海外から調達しているワイヤーハーネス、半導体などの値上がりを考えると、3%は努力の結果だと評価していい。
継続生産モデルの値上げ幅はマツダと三菱自動車が基準になると考えるべき。
つまり大半の継続生産車は秋口から3%程度の値上げをしてくることを覚悟しておくこと。ちなみに契約を完了している人は、契約時の金額のままでOK。
年次改良車やマイナーチェンジ車はどうなるだろう? こらもうまったく予想できない。値上がり幅のベースが3%になること間違いなし。
ただ継続生産モデルだから3%に抑えるのであり、改良を行ったら遠慮なく値上げ可能。私の勝手な予想だと下を見て6%。200万円のクルマで12万円というイメージ。
加えて、納期が長いということもあり完全に売り手市場。値引き幅は縮小しており、「値上げ+値引きの縮小」というダブルパンチを受ける。
さらに深刻なのは輸入車。1年前と比べ10%以上のユーロ高になっている。もちろん日本車と同じく現地の販売価格だって上昇中。
私が買ったルノールーテシアのラリー車も6万2000ユーロから6万5000ユーロに値上がりしていた。5%だ。
FOB(仕入れ価格)で15%上がったら、日本の販売価格はミニマムで10%くらい値上げしないとならない。
輸入車、今すぐ契約しちゃったほうがいいと思う。
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