2022年の真夏、ターボの特集。電動化の波がジワジワときているからこそ、内燃機関が生み出すターボの魅力に迫りたい。
以前のターボは「速さ」をアピールするための特別な道具だったが、現在では燃費とパワーを両立することができ、また、マイルドハイブリッドとの相性もよいことから、いわば「当たり前」のパーツになっている部分はある。
だが、それでもあの背中を押してくるような加速は、やはり格別だ。ターボの魅力、今こそ再確認しよう!
※本稿は2022年7月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出/ベストカー2022年8月10日号
■日本のターボエンジンの歴史
日本車ターボ時代の夜明けは1979年、今から43年前のことだった。
1970年代前半、オイルショックと排ガス規制のダブルパンチで日本車のパフォーマンスが激しく低迷していた時代である。日産を代表する2L直6のL20型エンジンは130ps/17.5kgm、しかも現在のネット表示ではなくグロスでのこの数値だ。
パワーアップの切り札として期待が集まったのがターボだ。この時代だとポルシェターボに代表されるように、ターボは高性能エンジンの代名詞のような存在だった。
それゆえに、当時の運輸省はターボエンジンの認可に難色を示した。暴走族が問題視されていた時代という背景もあり、ハイパワーエンジンは暴走行為を助長するという見解もあったのだ。
日産は「ターボはエンジンの効率を高め、燃費向上になる」という説明で当局を説き伏せた。現在のダウンサイズターボでそれは証明されることになるが、当時はもちろん認可のための方便だった。だからこそ、ターボ第一号はスカイラインではなく、高級車のセドリック/グロリアだったのだ。
■憧れだったツインターボの今
ひとつでも高性能車の証であるターボチャージャーを2基搭載しているのだから、ツインターボは超高性能!! ともてはやされた1980年代中盤。
直6エンジンに1基の大型タービンを装着すると、排気干渉が大きくなるうえ、ターボラグも大きく、いわゆるドッカンターボになってしまう。これを解消するため、3気筒ずつに分けて小型タービンを2基搭載したのが1985年10月に登場したGX70系マークII/チェイサー/クレスタだった。
その後、VG30DETTやRB26DETT、三菱の6G72など勢力を拡大したが、国産エンジンのターボ衰退期に数を減らす。高性能ではあるが、補器類が多くなりコスト的に高くなることも衰退の要因となった。それだけにツインターボは憧れのターボとしての地位を高めた。
現代のダウンサイズターボでは、小型シングルターボが主流であるが、そんななか、存在感を放つのは言うまでもなくGT-Rの3.8L、V6ツインターボだ。
だが、日産にはもう一基、VR30DDTTがある。そう、スカイライン400Rに搭載され、最新のフェアレディZにも搭載されるV6、3Lツインターボだ。405ps/48.4kgmのパワーはやっぱり魅力的だ!!
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