ベテランドライバーが日常的に行っている運転時のクセや習慣のなかには、現代にはほぼ不必要といえるもの、やってはいけない、やると恥ずかしいものが数多く存在する。そこで、アップデートしておきたい旧態依然とした運転法を検証する。
文/藤井順一、写真/写真AC
【画像ギャラリー】Z世代には理解不能な運転法も…(8枚)画像ギャラリー■高性能車の儀式だったが…「エンジン停止前の空ぶかし」
昭和や平成初期に免許を取得した世代にとって、クルマやバイクは先輩や友人など個人間で“お下がり”のように譲り受ける文化があった。
例に漏れず、筆者も初のマイカーである5代目マツダ・ファミリア 1.5リッター EGI ターボを先輩から10万円程で譲り受けた。
納車の際、前オーナーである先輩から「このクルマはターボ車だから、エンジンを止める前にいったん空ぶかしするように」とのアドバイスを受けた。
なんだか特別なクルマのようでカッコいいぞと思い、以来エンジン停止の前にはその言いつけを守り“ブォン”とやっていた。その行為に意味がない、と知るのはずっと後のことだった……。
そもそも、なぜ “空ぶかし”が必要なのか。これは、いわゆるキャブレター方式のクルマが主流だった時代の名残りといえる。
キャブレターは、インジェクションのように燃料が混ざった空気(混合気)を最適な比率で混合する調整ができないため、プラグが濡れたり、燃焼のススが付着して着火しにくくなる、いわゆる「カブる」状態となり、エンジンがかかりづらくなる。
これを避けるため、エンジン停止の直前にアクセルをいったん踏み込み、シリンダー内に残った混合気を燃やすことで、次回の始動をしやすくすることが目的だった。
だが、インジェクションを搭載したクルマは、エンジン停止直後に燃料がカットされるため、混合気がシリンダー内に残るようなことがないうえ、始動時にもコンピュータが空燃比を最適化してくれる。
つまり空ぶかしはインジェクション搭載車には意味がない作法なのだ。
筆者初のマイカーだったファミリアも実はマツダが言うところのインジェクションであるEGI搭載車だったため、先輩から伝承された空ぶかしは結果として意味のないものだったのだ……。
ゴルフ場に行くと、エンジン停止前の儀式として身体に沁みついたベテランゴルファーが、いまだ習慣的に行ってしまう様子を見ると、何だか昔を思い出して甘酸っぱい気持ちになる。
【画像ギャラリー】Z世代には理解不能な運転法も…(8枚)画像ギャラリー■小刻みなハンドル操作は時代遅れのテクニック!?「ソーイング」
カーブを曲がる際、ステアリングを小刻みに操作するテクニックは、ノコギリを引く動作になぞらえて「ソーイング」と呼ばれる。
急ハンドルを回避しながら、ハンドルの舵角を継ぎ足す操作は、雪道のような滑りやすい路面からドリフト走行にまで有効といわれていた。
だが、これも現代の進化したクルマには必ずしも必要なものではなくなっている。その理由はタイヤのグリップ性能の劇的な進化だ。
現在のタイヤは、グリップ性能が大幅に底上げされ限界性能が高いうえ、限界を超えても挙動はマイルド。
さらに、クルマ側に搭載される横滑り防止などの各種安全デバイスも介在すれば、一般道を普通に走行する時にはできなくても支障がない技術となった。
むしろ、ソーイングなんてやっていると、平成・令和世代の人からは「落ち着きないなぁ」、「うっとうしい」なんて思われてしまうかもしれない……。
【画像ギャラリー】Z世代には理解不能な運転法も…(8枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方先程、MT車がエンブレとシフトダウンの組合わせで減速されるのは怖いと書かれてるのがありましたが逆にAT車でも赤信号が見えるとアクセルぬいて(完全停止したくないぞ)減速する方もいますよね。
それも後続車側からすると怖いですよね。
1つメリットと言えるのは多分、2・3回やると後続車が警戒して車間距離取るようになるとおもいます
暖気運転は停車してのが、必要無いとメーカー言っていてエンジンをかけて5分位は優しいアクセル操作をしてエンジンなどを温めて使ってねと言っていますよ
無駄にブレーキを踏む様な運転こそ、後続車に連鎖的なブレーキ操作と減速を強いる為、渋滞の原因となりますね。
個人的には本来流れが良い筈の路線で急に前方車両が詰まって停車しないといけないような場合は敢えてブレーキランプを小刻みに点滅させ後続車にも危険を知らせますが、そうでない場合は極力無駄なブレーキを控える様にしています。
「エンジンブレーキ」は時代遅れどころか、むしろ「AT車でも必要な運転技術だ」と強調すべき。最近は「On/Offの単純概念」しか無い者が多い。「アクセルで進み・ブレーキで止まるもの」だと思い込みエンブレやシフトダウンという中間発想が欠落している。だから長い下り坂でやたらとブレーキを踏む。ブレーキ性能が高いから急制動になる。そんな車の後につくとこちらまでギクシャクした動きにさせられて大いに迷惑だ。
他はともかく、前車のブレーキランプの点灯に大きく左右されてしまうような運転は、危険なのでやめたいですね。
SNSでそれは、ブレーキランプ点く「だろう運転」で危ないよと指摘されていました。成程、だろう運転か。
自分が運転する時は、周りに分かりやすく合図を出して急を控える。一方で、他人には自分と同じ心がけまで期待しない。
相手もやって当然、という考え方では、いつか必ず事故起こします。
全部やってないよ。
ブレーキ?普通は踏まないね。止まる直前にちょこっとだけ。あとは回生ブレーキでなんとかなる。
エンジンブレーキのところは、おかしな考えだ。ブレーキをパカパカ踏まれるほうが、よほど迷惑だ。追突の原因は、エンジンブレークではなく、車間距離の問題だ。
減速は原則フットブレーキですよ。制動灯での合図は方向指示器での合図と同様に法律で定められています。
エンジンブレーキでの減速はあくまでも補助であり、長い下り坂等で使うもの。
空ぶかしやってます
仕事待機中寒い時、エンジン掛けっぱなしのため、マフラー内の水抜きしてます。無駄な事ですか?結構出ますけど
確かに常識は変わっていく物だが、MT車のエンジンブレーキ操作は大切な乗り方。近年大型バスのMT車で若者運転手がフェードで大事故を起こす等、車の性能を過信や信じたりし過ぎなのでは。筆者が歳を重ねるのを怖がっているとしか思えない。AT、MT車のそれぞれの違いの理解度を上げる事が安全運転に近づくものと確信している。