高速バスや貸切バスには、窓が開くものと開かないものがある。見た目のエレガントさなどはともかくとして、実は明確なルールがあるのだ。
昨今は換気の必要性が叫ばれているだけに、窓の開閉についての関心は高いはずだ。そこで窓の開閉ルールについて再確認した。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
見た目は開かないほうがカッコいい?
スラっとした高速バスや貸切バスの側面の窓は、開かないほうが見た目にもエレガントで恰好が良い。ただし昨今の世情では換気の必要性から窓は開いたほうが良いと考える人も多い。
これについては別の議論になるので詳細は省くが、窓が開かなくてもバスのエアコンは強力なので十分な換気能力があり、5分ほどで車内の空気が換気される。
街を走るバスを眺めていると、高速バスに限れば長距離バスや夜行バスは窓が開かない仕様が多いように感じる。また貸切バスは高級そうな仕様ほど窓が開かないようだ。ルールとは異なるが、この見分けはある意味で正しい。
結論を先に述べるとルールとしては、補助席の有無で開閉する窓の設置義務が分かれる。よって長距離や夜行仕様の高速バスや、高級仕様の貸切バスには補助席がないことから、窓が開かないバスが多いのは厳密ではないが概ね正解と言える。
すべては安全のため
バスには乗降ドアの他に非常口を設置しなければ、日本の道路では走れない。外国製の連節車のように非常口がない代わりに、窓ガラス破壊用のハンマーを設置することで、非常口に代えることが認められた例はあるものの、基本的には複数の脱出口がある。
しかし補助席が設置され実際に使用されている状態のバスには通路がない。事故発生時に脱出するのに乗降口や非常口に行こうにも通路がなければ不可能だ。
手順としては、まず補助席に着座している「全員」が補助席をたたみ通路を確保したうえで脱出。そのあとに正座席の人が確保された通路を通って脱出という方法をとる。
補助席の人がまごついたりパニックに陥るなどして、補助席をたたまずに前の座席を飛び越えて脱出してしまうと、正座席の人が脱出困難になる。よって開く窓を設置することを義務付けて、容易にどこからでも脱出できるように決められている。